2017年7月30日、福岡県警察南署に勤務する警部補が、セカンドバッグ内に乾燥大麻を所持していたとして、逮捕されていたことが判明しました。
警察官は国家権力を持っているだけに、品行方正であることが求められます。ほとんどの警察官は真面目に日々善良な市民の安全を守るため、その職務を全うしてくれていることでしょう。
その一方で今回のような不祥事も発生していますが、警察官による大麻所持事件が起きた場合、一般人より罪は重くなるのでしょうか? 法律事務所あすかの冨本和男弁護士にお伺いしました。
■警察官の大麻所持は一般人より罪が重くなる?
「重くなる場合があります。警察官は、個人の生命・身体・財産の保護、犯罪の予防、公安の維持等を忠実に遂行することを任務としています(警察官職務執行法第1条)。
犯罪の予防を職務とする警察官が犯罪を行った場合、警察の信用は失墜し社会に与える影響は深刻重大です。そこで、社会に与えた悪影響を払拭し、警察官が犯罪に手を染めないようにという意味で重く処罰される可能性があります。
社会に与える影響は深刻・重大ですし、薬物犯罪の問題点について熟知している警察官による犯行は一般人が行った場合よりもより非難されるべきと考えられ責任が重いからです」(冨本弁護士)
やはり一般と比較すると薬物犯罪に熟知している警察官が大麻を所持していた場合は、罪が重くなるのですね。
■大麻は「使用のみ」では犯罪にならない?
大麻取締法については、「使用しても罪にはならず、所持が違法になる」という不思議な法律という認識があります。仮にそのようなことがあった場合、罪に問われないのでしょうか?
再度法律事務所あすかの冨本和男弁護士に、お伺いしてみると……。
「大麻取締法は、第3条1項で“大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、または研究のため使用してはならない。”と規定し、第24条の3の第1項で“大麻を使用した者”を5年以下の懲役で処罰すると規定しています。“使用”が無罪というわけではりません。
大麻の吸食行為を直接処罰する規定がないだけです。吸食には通常所持を伴いますので大麻の所持罪で処罰されることになります」(冨本弁護士)
やはり吸食行為を直接する処罰規定がないだけ、ということなのですね。実際問題吸うためには所持せねばなりませんから、「吸引したけれど所持していない」という主張は成り立ちません。
薬物は身を滅ぼします。絶対に使用しないようにしましょう。
*取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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