これで安心!「悪質な訪問販売」から身を守るための4つの法的対処法

ここ最近、悪質な訪問販売が増えているようです。11月には高齢者に布団の違法な訪問販売をしたとして、業者に行政処分が下る事件が静岡県でありました。また、神奈川県では「悪質な訪問販売をやめさせる」とウソをつき、現金をだまし取るという事件も発生しています。

このような悪質な業者から身を守るための法的手段を、4つご紹介いたします。

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

 

■悪質訪問販売業者の代表的な3つのやり口とは?

悪質な訪問販売業者のやり口としては、次のようなものがあります。

① 扉を閉めようとするとドアに体を挟んでドアを閉めさせない
② 「今日は忙しいです」と伝えると、「それならいつならご予定が空いていますか」と言い、「話を聞かれるつもりがないならなんでドアを開けたんですか? ドアを開けたということは何か話を聞こうと思ったんでしょ」「大きな声を出されるとご近所迷惑ですよ」などと会話をつなぎ、いつまでも立ち去らない
③「お住まいについて話をするためです」と訪問目的を明示せず、いつまでもだらだらと話をする

このような悪質な業者に出会うと根負けして、話を聞いてしまうことになるかもしれせんが、それでは彼らの手口に乗ってしまいます。根負けをせずに次のような毅然とした態度をとってください。

 

■悪質業者から身を守るための4つの「法的な追い払い方」

(1) 不退去罪で警察に電話すると伝える

まず、悪質業者から身を守るために有効な法的な「追い払い方」は、「不退去罪(刑法130条)」で警察に電話すると悪質な業者に対して伝えることです。

どのような行為について不退去罪が成立するか簡単に説明すると、住んでいる人から「帰ってください(退去命令)」という要求を受けてそれがわかっているのにその要求を無視してその場所から退去しない行為について成立します。だから、いつまでも軒先や玄関先に居座る業者に対しては、携帯電話等で警察に電話を素振りを見せれば悪質業者も帰ると思われます。

(2)特定商取引法3条の違反と、60条を利用する意思があることをはっきり伝えること

悪質な訪問販売業者は、訪問目的を明示せず、いつまでもだらだらと話をしてくる場合にはどうしたらいいのでしょうか?

販売業者が訪問販売をしようとするときは、その勧誘に先立って、次の3つを明らかにしないといけません(特定商取引法3条)。

1)会社名
2)売買契約の勧誘目的
3)勧誘に係る商品名

したがって、訪問目的も明かさない悪質な訪問販売業者に対しては、その行為が特定商取引に関する法律(以下、「特定商取引法」という。)3条の違反であることを伝えることが考えられます。

それでも業者名を名乗らない場合は、訪問販売員の名前を聞いた上で、主務大臣申出制度(特定商取引法60条)を利用することが考えられます。

主務大臣申出制度というのは、「このような悪質な訪問販売がありましたよ。お役人さん調べてください」ということを申し立てる制度です。役所は、調査をした上で必要があれば、悪質な訪問販売業者に対して、業務改善の指示(特定商取引法7条)業務改善命令(特定商取引法8条)を出すので、主務大臣申出制度には一定の意味があります。

したがって、悪質な訪問販売業者に対する対処法としては、その訪問販売員による訪問販売について記載した申出書を都道府県の特定商取引法担当課に対して提出する旨を伝えるという方法が考えられます。

(3) 消費者契約法における契約の取消がある旨を伝える

消費者契約法4条3項1号には、消費者宅から事業者が退去しない場合、消費者の困惑に基づいてした契約の申し込み・承諾の意思表示の取消しができると規定されています。したがって、このまま居座られて契約を締結することになっても、消費者契約法4条3項1号を利用して契約を取り消しますよと悪質訪問販売業者に伝えることが考えられます。

(4) 事後的な手段としてクーリング・オフもある

仮に訪問販売業者の圧力に押されて契約を締結してしまった場合でも、申込みまたは契約の後8日間は無条件で解約することができます。

 

■弁護士からのアドバイス

訪問販売業者の圧力に押されて契約を締結してしまったので、クーリング・オフをしたいと考える場合には、訪問販売業者に対して弁護士から内容証明郵便を送るのが有効です。その際には弁護士鈴木謙太郎にご相談ください。

 

*著者:弁護士 鈴木謙太郎(1972年の設立以来40年以上の歴史がある、虎ノ門法律経済事務所の池袋支店で支店長を務める。注力分野は遺産相続、不動産取引、交通事故、債権回収、労働問題、債務整理、刑事事件、離婚等。「皆様の人生の一大事を共に解決するパートナーとして、真摯に業務に取り組んでまいります。」)

【画像】イメージです

*ワンセブン / PIXTA(ピクスタ)

【関連記事】

これで安心!身に覚えのない「架空請求メール」が届いた時の4つの対処法

「配偶者控除」を巡る法改正…もし年収上限が150万円に引き上げられたら困るのは誰?

ジミー・ペイジ演奏なし問題…イベント主催者はチケット代を返金する義務があったの?

パナ社員90人超が「2,000回以上の接待」で懲戒処分に…就業規則との法的関係とは?

「配偶者控除」の年収上限が「130万か150万」に見直されると生活にどう影響?

鈴木 謙太郎 すずきけんたろう

虎ノ門法律経済事務所 池袋支店

東京都豊島区南池袋2-12-5 第6.7中野ビル7FB号室

コメント

コメント