Amazonや楽天など、実際に店舗には出向かなくても買い物ができるため、便利になりました。大変高い利便性から、ネットでショッピングする方も多いかと思いますが、ネット上では、実際に遭ったトラブルがまとめられていました。
あくまで噂の範疇なので、実際にこういったトラブルに遭われたかどうかは定かではありませんが、まとめられていた事例について法的な観点から解説してみたいと思います。
■そもそも宅配業はどういった規定があるのか
宅配業については、商法で規定があります。ちなみに、商法では、宅配業者のことを「運送人」、宅配業者に荷物の配送を依頼した人のことを「荷送人」、配送先の人のことを「荷受人」という言葉を使っています。
商法では、運送人は、運送品の受取り、引渡し、保管及び運送に関して、注意を怠らなかったことを証明できなければ、運送品の滅失、毀損または延着につき、損害賠償の責任を免れることができないとされています(商法577条)。
まぁ、債務不履行責任として、当然のことです。
特則については、高価品について、運送を委託するにあたり、その旨を告知しないと、損害賠償請求ができないということになっています(商法578条)。
では、以下に個別で見ていくことにしましょう。
■勝手に荷物を置いていく
本来、受取人の受取りのサインをもらうというのは、ちゃんと届けましたという宅配業者側のリスクを回避するためのものであるにもかかわらず、それをしないというのは、もし荷物に何かあった時(壊れた、盗まれた等)には、無条件で責任を負うということになってきます。
また、雨が振っていた場合に濡れて荷物が使い物にならなくなった、犬小屋に荷物を置いていった場合に犬が噛み砕いて壊したなどの場合にも、受取人は、宅配業者に対して損害賠償請求ができることになります。
■中身を聞く
中身を聞く権利は、宅配業者には荷受けの場合以外にはありません。荷受けの場合でも、具体的な内容までは聞く権利はなく(プライバシーの問題がありますね)、一般的なジャンルまでということになります。
興味本位で中身を聞いたからといって、それが違法行為ということにはなりませんが、受取人の側では答える必要はありませんので、きっぱりと拒否してください。しつこく聞いてくるようであれば、プライバシー侵害として慰謝料の対象になることもありうるかと思います。
■冷凍便が常温になっていた形跡がある
運送業者として、通常の注意義務をもってすれば、冷凍便を常温で運送することはあり得ないことになります。したがって、受取人は常温になって溶けてしまったアイスクリームの弁償を求めることができます。
■他人に荷物を届ける
他人に荷物を届けるということも、運送業者として通常の注意義務をもってすればあり得ないことです。配達するときに、「◯◯さんですよね?」と必ず聞くのが普通ですね。他人に荷物を届けることによって、紛失したということになれば、当然損害賠償請求の対象になります。
*著者:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所代表。手品、フルート演奏、手相鑑定、カメラ等と多趣味。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする)
【参考】
*Yomerumo NEWS:【最悪】これはひどい! 宅配業界の信じられない噂×12選
【画像】イメージです
*Satoshi KOHNO / PIXTA(ピクスタ)
【関連記事】
*Amazonの「ドローン配達」がイギリスで初成功…日本で実施するための法律の壁とは?
*付箋を貼ってポストへ――郵便が誤配達されたときに取るべき正しい行動とは