メール便の破損が多発?破損の被害に遭ったらこうしよう

最近ネット上でメール便が傷むということが多くなってきているのでは?と言われているようです。

近頃Twitterに掲載された画像によると、泥っぽい汚れが包み紙に付着し、中の商品もへこむなどの被害があったそうです。

実際に被害が多くなってきているのかは定かではありませんが、もし、自分がメール便(や宅配物)の中身が傷む被害にあってしまったら、どう対処するべきなのか、検討してみたいと思います。

宅配

■メール便とは

この点、参考としてヤマト運輸のクロネコメール便約款を見てみましたが、「カタログや雑誌等の郵便受け等への投函サービスで受領印不要のお届けサービス商品」とあります。

要するに、メール便というのは、運送会社が会社の配送ネットワークを利用して、カタログや雑誌等の、郵便法上の「信書」に当たらない軽量な荷物を運送して宛先の郵便受けに直接投函して配達するサービス、いわば信書以外の郵便みたいなもののようです。

 

■運送人の責任

運送人の責任については、商法が定めています。運送人とは、「陸上または湖川、港湾において物品または旅客の運送をなすを業とする者」(商法569条)をいいます。

メール便サービスを提供している業者も、陸上で物品の運送を行う事業を行っているのは間違いないですから、運送人に当たります。

運送人は、善良な管理者としての注意義務を負っており、運送品が滅失・毀損しないように運送品を目的地まで移動させ荷受人に引き渡さなければなりません。

運送人は、自分もしくは運送取扱人またはその使用人その他運送のために使用した者が運送品の受け取り、引き渡し、保管および運送につき注意を怠らなかったことを証明しないと、運送品の滅失、毀損または延着によって生じた損害の賠償責任を免れません(商法577条)。

「運送」とは、物品または旅客の場所的移動をなすことをいいますが、メール便の配達も「運送」に当たると考えられます。

したがって、メール便の利用者としては、中身が破損していた場合、中身が破損していたことを主張・立証することによって宅配業者の損害賠償責任を追及することが考えられます。

これに対し、宅配業者としては、運送品の受け取り等について注意を怠らなかったことを立証しないと商法上は責任を免れないことになります。

ただし、荷造りに欠陥がある等、メール便の利用者にも過失があるような場合には、過失相殺を主張されて賠償額が減ることもあります。

また、高価品の場合には、運送人にその種類と価格を明確に告げられていた場合でない限り、運送人は損害賠償責任を負いません(商法578条)。

 

■特約による免責

以上のように運送人の責任が商法上規定されているわけですが、強行規定ではなく、特約によって運送人の責任を軽減・免除することもできるとされています。

運送業者の場合、運送契約の約款でこうした運送人の責任を軽減・免除する特約を設けているのが普通です。

ただし、運送人らがわざと運送品を滅失・毀損させた場合、免責約款によっても責任を免れることはできないと考えられています。

クロネコメール便約款第36条は、「当店は、自己又は使用人その他運送のために使用した者が、荷物の受取り、配達、保管及び運送に関し注意を怠らなかったことを証明しない限り、荷物の滅失、き損又は速達サービスの遅延について損害賠償の責任を負います。」と規定しているので、この点は商法577条の内容とほぼ同じです。

しかし、クロネコメール便約款40条2項は、「荷物の滅失又はき損の場合における当店の損害賠償責任は、荷送人又はその承諾を得た荷受人の指示により、次の各号の一に該当する方法によるものとします。一 当該荷物の運賃、料金の返金 二 当該荷物の代替品の無償運送」と規定し、損害賠償額を一定金額に制限しています。

この約款も、運送人がわざと滅失・毀損させた場合まで損害賠償額を制限するものでない以上、有効であると考えられます。

 

■被害者はどうするべきか

そこで、メール便利用者としては、中身破損という被害にあった場合、破損した事実を主張して運賃・料金相当額の損害賠償責任を追及するか、運送人らがわざと(あるいはわざとに匹敵するような重過失で)滅失・毀損させた事実も併せて主張・立証することによって中身破損の損害について賠償責任を追及すること考えられます。

法律的に考えると以上のようなことだと思いますが、運送人らがわざと滅失・毀損させた事実はもちろん、運送中に破損した事実の立証も簡単ではないと思います。

立証できそうだとしても、裁判は素人には無理ですし、弁護士に依頼するにしてもお金がかかり割が合わないのが普通です。

重要な品物については、品物の種類と価格について明確に告げた上で、万一の場合補償してもらえる業者に配送を依頼しましょう。

 

*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)

*画像はTwitter:@Kiyu_Goods さんより

冨本和男
冨本 和男 とみもとかずお

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