昨今、首都圏では「上野東京ライン」や「東急東横線」「西武池袋線」など、複数路線の直通化によって、列車の運転見合わせが増加したといわれています。
神奈川県を走っている電車に乗っているにもかかわらず、栃木県内で発生した人身事故によって電車が止まるということも多々発生しており、乗客からは「これなら直通化しないほうが良かった」という声もでているようです。
■勝手にドアコックを操作し降りるケースも
電車に乗っているときに運転見合わせとなった場合、ほとんどの人が車内で運転再開を待っていることと思います。
しかし、一部には電車内の非常ドアコックを操作し、勝手に線路に降りてしまう人もいるよう。車掌が車内アナウンスで絶対に線路に降りないよう促しているのですが、聞かない人間も残念ながら存在しています。
このような場合、静止を無視して線路に降りた乗客は罪に問われないのでしょうか? 星野・長塚・木川法律事務所の星野宏明弁護士にお話を伺いました。
■電車運転見合わせ時に線路に降りたらどうなる?
「線路への立ち入り行為は、たとえ運転見合わせ時であっても、勝手に自己判断で線路に立ち入ると鉄道営業法37条の
「停車場其の他鉄道地内に妄に立入りたる者は十円以下の科料に処す」
との規定違反することになります。火災が発生しているなど電車内にとどまっていては身体への危険がある場合を除き、無断立ち入りは、鉄道営業法違反となります。
さらに、新幹線の敷地内へ立ち入った場合には、新幹線特例法3条2項違反となり、1年以下の懲役または5万円以下の罰金となります。
また、線路に立ち入るだけではなく、設備を破壊するなど、列車の運行に支障をもたらすような行為をした場合は、刑法上の往来危険罪(2年以上の懲役)、過失往来危険罪(30万円以下の罰金)とされる可能性もあります。
いずれにしても、重大な刑事責任に問われるおそれがあります」(星野弁護士)
「勝手に線路に降りる」行為は、重大な刑事責任に問われる恐れがあるとのこと。焦る気持ちがあっても、線路に降りないようにしてください。
*取材協力弁護士:星野宏明(星野・長塚・木川法律事務所(旧星野法律事務所)。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)
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