休憩時間も含め勤務時間中は喫煙禁止…法的には問題ない?

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国内では、分煙化や禁煙に対する意識が高まってきているようですが、なかなか辞めることができないのが喫煙だと思います。

そんななか、とある企業が休憩時間を含めて勤務時間中の喫煙を禁止したようです。健康の面を考えるのであれば、喫煙は確かにしないほうが良いのかもしれませんが、果して喫煙を禁止することは出来るのでしょうか。

休憩時間を含めた喫煙禁止や、勤務時間外の喫煙禁止について解説してみたいと思います。

 

■休憩時間中の喫煙禁止は労基法違反の可能性が

休憩時間中に喫煙を禁止することは労働基準法違反に当たる可能性があります。

労働基準法は、休憩時間について、労働者の自由にさせなければならないと定めています(労働基準法34条3項)。休憩時間自由利用の原則といいます。

労働基準法がこのように定めているのは、休憩が労働者の心身の健康を維持するために必要であり、そのためには休憩の使い方を労働者の自由にさせる必要があるからです。

したがって、外出先での喫煙も禁止など、どんな場合にも喫煙禁止とすることは、この休憩時間自由利用の原則に違反すると考えられます。

 

もっとも、喫煙が職場に悪影響を及ぼす場合もありますので、職場環境を良好に保つための喫煙禁止は許されます。

職場内の従業員の健康を増進するために職場内での喫煙を禁止したり、客の出入りがある店内での喫煙を禁止したりすることは許されると考えられます。

通達でも、「休憩時間の利用について事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的を損なわない限り許される」(昭22.9.13次官通達17号)とされています。

 

■勤務時間外の喫煙を禁止することは難しい

勤務時間外にまで喫煙禁止とするのは私生活への干渉ですので、勤務時間外の喫煙によって勤務時間内の業務に重大な支障をきたす可能性が高い場合でもないと禁止できないのではと考えます。

 

*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)

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冨本和男
冨本 和男 とみもとかずお

法律事務所あすか

東京都千代田区霞が関3‐3‐1 尚友会館4階

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