最近は転職市場も人手不足から売り手市場が続いているため、キャリアアップのために転職を考えている方も多いのではないでしょうか。
スムーズに転職先が決まり、あとは今の職場に退職の意思を伝えるだけ、と思ったら、なんと「退職の申し出は半年前までに行うこと」と就業規則に定めがあることが判明……。
半年後まで転職先が待ってくれるはずもないので、会社の就業規則にこのような定めがあった場合、これに従わなくてはならないのでしょうか?
Q.半年前までに退職の申し出なんて無理……こんな就業規則は違法じゃないの?
A.就業規則にそのような定めをすることは会社の自由ですが、法的な効力は持たない可能性が高く、2週間〜1ヶ月前までに一方的に申し出をしても合法に退職することができます。
実は、労働基準法には労働者が退職の申し出をすることに関して明確な定めを設けていません。
そこで、一般法である民法の規定を参照することになるのですが、民法では期限の定めのない(つまり正社員の)雇用契約については2週間前(月給制の場合は給与の締め支払い期間の前半まで)に解約の申し出をすれば、会社の同意がなくとも退職をすることができます。
そもそも、退職をするにあたり会社の同意は必ずしも必要ありません(一方的に解約できます)。
なお、就業規則の効力ですが、「退職の申出は半年前」という定めを設けることは企業の自由ですが、不当に労働者を拘束する意図を持つような公序良俗に反する就業規則の定めは法的に無効とされるため、「半年前に申し出」という会社のルールには従う必要はありません。
民法に従い2週間〜1ヶ月前までに会社に退職の申し出を行い、一方的に退職してしまっても差し支えありません(ただし、「1ヶ月前に申し出」など期間が合理的なものであれば、その就業規則の内容に従わなければならないこともあります)。
*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。
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