2月8日、財務省が経常収支を発表。それによると、経常黒字は前年度より約25%アップの20兆6496億円だったそう。これは過去2番目の高水準で、景気が上昇し始めているようです。
しかし、庶民の懐が暖かくなっているかというと、そうではないのが現実。「恩恵を受けられていない」という声も多く、厳しい生活を強いられている人もいることでしょう。ブラック企業のような会社に勤めている人は、見切りをつけ、転職を考えていることだろうと思います。
転職活動の末新しい勤務先が決まれば、当然退職届を提出します。あとは「辞めるだけ」というときに突然内定取り消しをうけた。あるいは、自分が聞いていなかった事実が発覚した。そのような場合、届を取り下げてまた勤務させて欲しいと考えるものです。
「辞めるのやーめた」というのはあまりにも虫のいい話なだけに、退職届の撤回は不可能なように思えますが、法的にはどうなっているのでしょうか? ピープルズ法律事務所の森川文人弁護士に見解をお伺いしました。
Q.いったん提出した退職届を取り下げることはできる?
A.使用者が承諾の意思表示を示す前であれば撤回できます
「退職届は、退職の意思表示であり、それと異なり退職願は、合意解約の申込であるとされています。退職願であれば使用者の承諾の意思表示を得るまでは撤回できるとされています(判例)。何時、承諾の意思表示がされたかについては、その届出が退職承諾の決定権のある者に会社内で届いた時とされています。
退職届であれば錯誤による無効(民法95条)、脅迫による取消(民法96条)等意思表示の有効性の問題となります。この点は、退職願においても決定権のある者に届いたのちは同じことになります」(森川弁護士)
提出した退職届が雇用を判断する人間に渡り、「承諾」の意思表示を得る前であれば撤回することはできるようです。意思表示後は、その有効性が問われるとのこと。退職しなければならないと間違って思い込んでいたり、思いこまされたりした場合ということです。
実際のところ、撤回することについてネガティブに捉える人が多いかもしれません。退職届の提出は、慎重に行ったほうがよさそうですね。
*取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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*freeangle / PIXTA(ピクスタ)
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