フルタイムの正社員ではなかなか多くないケースかもしれませんが、アルバイトとして働いた経験のある方なら、アルバイト先から「シフトが充足したからしばらく自宅待機して」「経費削減するからしばらく休んでて」などという事を言われた事がある方は少なくないのではないでしょうか(筆者は実際何度か言われたことがあります)。
そもそも週○日契約などという形で雇用契約を結んでいるのに、いきなり自宅待機などと言われたら生活に影響が生じてしまいますよね。職場からこんなことを言われた時に、何とかして給与だけでも支払ってもらうことはできないものなのでしょうか?
Q.仕事がないから自宅待機してて……違法じゃないの?
A.自宅待機自体は法的に問題ありませんが、最低でも給与(平均賃金)の6割を支払う必要があります。
労働基準法では、「休業手当」という制度が定められており、会社の都合で従業員に自宅待機(休業)などを命じる場合については、給与(平均賃金)の60%以上を手当として支払わなければならないとされています。
そのため、いきなり自宅待機を命じられた場合であっても、最低でも給与の6割は会社に支払いを求めることができるのですね(地震や台風などの不可抗力で会社に責任がない場合はこの限りではありません)。
ちなみに、民法では、このような場合には給与の全額を請求できると定められていますが、会社都合の度合い(帰責事由と言います)が労働基準法よりも狭く考えられていること、民法を根拠として支払いを求める場合は訴訟などに発展する可能性があることなどから、まずは労働基準法で定められている「休業手当」の支払いを求めるのが現実的であると言えるでしょう(会社が休業手当すら支払わない場合、労働基準法違反として労働基準監督署が動いてくれるため)。
*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。
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