「家賃手当廃止」「給料10%カット」…労働条件変更は社員に了承を得なくても可能?

ここ最近は日本もそこそこ景気が良いので、あまり聞かれない話かもしれませんが、景気が思わしくない時期には「手当の廃止」や「賃金の一律カット」ということがしばしば発生していました。

ただ、今後の景気の行く末については誰にも分かりませんから、そう遠くない将来このような労働条件を不利に変更することが頻発しない保証はどこにもありません。しかし、このように労働条件(就業規則など)を従業員の同意なしに勝手に変更することは、そもそも法的に許されるのでしょうか?

 

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Q.就業規則は勝手に会社が変更できるもの?

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A.就業規則を変更するにあたり、社員の同意は必要ありません。ただし、従業員の不利益になる変更をする場合には一定の手順を踏む必要があります。

まず大前提として、就業規則とは社内のルールについて、ある意味会社が一方的に定めるものですので、実はこの内容を変更するにあたって労働者の同意を得る必要はないのです(意見を聴く必要はあります)。そのため、手当や給与水準について定める賃金規定(就業規則の一種)を変更する場合にも、原則として労働者の同意は不要なのです。

ただし、今回の例のように従業員の不利益になる変更をする場合には、「合理的な理由」が必要であるとされています。

では、何をもって「合理的」と言えるかがポイントになりますが、こちらは具体的な基準がありません。

参考までに、過去の裁判例をご紹介しますが、手当や給与カットもやむを得ないほど会社の経営が危機に陥っていて、そのような状況下においては賃下げをせざるを得ないなど従業員への説明責任をしっかり果たしているなどすれば、必ずしも従業員の同意を得ていなくても「合理的」と認められる傾向にあるようです(要するに実際は個別の事案ごとにケースバイケースで判断されることになります)。

そのため、このような合理的な理由もないのに「ただ給与をちょっと下げたい」などの経営側の勝手な理由で給与などの労働条件を改悪するということは許されないのですね。

 

*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。

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