残業時間が月60時間を超えたら割増賃金が更に貰えるってホントなの?

残業をするとその分だけ貰えるのが残業代ですが、この残業代のパーセンテージがいくらになっているかご存知でしょうか?

法律上は労働時間が1日について8時間、1週間で40時間を超えた場合には時間外労働として「25%以上」の残業代(割増賃金と言います)を支払う必要があると定められています(休日労働や深夜労働についてはこれとは別枠のパーセンテージで残業代が計算されます)。

実は、この25%という残業代のパーセンテージですが、月間の残業時間が一定の水準を超えるとさらに率が高くなることがあります。

 

Q.残業時間が月60時間を超えると残業代はどうなる?

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

 

A.残業代のパーセンテージが「25%以上」から「50%以上」に上がります。ただし、中小企業は平成31年までこの率の適用は猶予されています。

割増賃金は貰う側からすると嬉しい制度かもしれませんが、そもそもの制度趣旨の1つには「割増」をつけることによって残業が長時間化することを未然に防ぐことが挙げられます。そのため、月60時間という長時間の労働に対しては法律上「50%以上」という高い割増率が設けられています。

この制度は平成22年の法改正により導入されたのですが、これまで中小企業は、この適用が猶予されていました。日本の企業のほとんどは中小企業に該当しますから、つまり多くの人にとって「月間残業時間60時間超え=残業代50%割増」とはなっていなかったのですね。

ただし、この猶予期間も平成31年3月で終了が予定されています。よってあと約2年後には、会社の規模を問わず月60時間を超える残業に対しては50%の割増賃金を支払わなければならない時代が到来することになります。

残業代を支払う側の中小企業からすると割増率が一気に倍になるのは大きなインパクトですから、これを機に日本人の働き方が大きく変わることになるかもしれません。

貰える残業代が増える、というよりもこれからはより残業をしない・させない(人によっては残業が“出来なくなる”と感じられるかもしれませんが)ワークスタイルへと変貌していくのではないでしょうか。

 

*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。

【参考】

*中小企業庁:http://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html

【画像】イメージです

*msv / PIXTA(ピクスタ)

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