11月8日、博多で地下鉄工事が要因と思われる大規模な道路陥没事故が発生しました。これに伴い、金融機関のシステムにも大きな障害が発生したようです。
そこで、会社の取引先への入金が遅れてしまい、それがきっかけで仮に「遅延損害金」を請求されたり、信頼関係を損なって契約解除などの大きな損害につながってしまった場合、法的な責任は誰が追うことになるのでしょうか?
今回の事故は、福岡市発注の地下鉄延伸工事が陥没の原因の可能性があるとのことですので、その可能性が現実のものだったと仮定して、お話を進めてみたいと思います。
■基本的には会社が責任を負う
会社(A社)の取引先(B社)との契約において、A社の入金が遅れたことによる取引先(B社)の損害については、A社は基本的に責任を負いません。A社には、履行遅滞等について、責に帰すべき事由がないからです。
つまり、人為的な災害とはいえ、これは福岡市の引き起こした災害ですので、A社にしてみれば、「不可抗力」ということになります。
しかしながら、金銭債務について民法419条3項に特則があり、不可抗力であることを理由に、A社はB社に遅延損害金の支払いを拒むことができないことになっています。従って、遅延損害金については、一旦A社がB社に支払い、後は、この支払い分を福岡市に求償できるかどうかが問題となってきます。
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