11月7日に、20代女性の足をなめ続けたとして、京都市伏見区内のアルバイトの男(56)が「強制わいせつ」の疑いで逮捕されました。
報道発表によると、男性は7月23日午前0時ごろ、帰宅途中のこの女性に「ブレーキの修理を手伝って」などと声をかけ、駐車場に停めた自身の乗用車まで女性を誘導。運転席に座らせて裸足の状態にした上で、「ブレーキを踏んで」と指示すると、女性の足元に潜り込んで、なんと約30分間も足の裏をなめるなどした疑いがかけられています。
かなり異様な犯罪ですが、「強制わいせつ罪」と「暴行罪」の境界線はどこにあるのでしょうか? また、何を基準に判断されるのでしょうか?
■「強制わいせつ罪」と「暴行罪」の定義とは?
「暴行罪」における「暴行」とは、他人の体に対する物理力の行使のことをいいます。小難しい言い方ですが、典型的には、「殴る」、「蹴る」などのことです。これだけではなく、音や電流などの物理力行使も含まれます。
一方、「強制わいせつ罪」とは、「暴行」または「脅迫」を用いてわいせつな行為をする罪です(なお、被害者が13歳未満の場合はわいせつ行為をするだけで成立します!)。ここでいう「暴行」とは、「相手の反抗を著しく困難にする程度のもの」である必要があります。つまり、「暴行罪」における「暴行」の方が、「強制わいせつ罪」における「暴行」よりも広い概念であるといえます。
冒頭のような女性の足をなめ続けたケースで、「暴行罪」ではなく「強制わいせつ罪」によって逮捕されたのは、犯行態様にあるように、足をなめるという行為がわいせつ性をもっていると評価されたからです。そのための手段としての暴行も、「足首を押さえる」という、「反抗を著しく困難にするもの」であると(少なくとも警察には)判断されたため、「強制わいせつ罪」により逮捕されたということでしょう。
当然ですが、単純な暴行罪よりも、わいせつ性を含んだ強制わいせつ罪の方が、より重い罪ということになります。
報道が事実であれば、被害者の方にとっては思い出すのも苦痛な、非常に辛い時間だったことでしょうね…。
*著者:弁護士 河野晃 (水田法律事務所。兵庫県姫路市にて活動をしており、弁護士生活6年目を迎える。敷居が低く気軽に相談できる弁護士を目指している。)
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*wavebreakmedia / PIXTA(ピクスタ)
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