「こち亀」の愛称で連載されてきた『こちら葛飾区亀有公園前派出所』が、9月17日(土)発売の「週刊少年ジャンプ42号」(集英社)で、最終回を迎えます。
マンガのタイトルにも使われている「派出所」ですが、「交番」や「駐在所」と呼ばれることもあります。これらは厳密には役割などにおいて違いがあるのでしょうか? 法的な解釈から解説していきたいと思います。
■「交番」「派出所」「駐在所」の違いは、警察官が居住しているか否か
まず、「派出所」も「交番」も同じものを指しています。平成6年の警察法改正前までの正式名称が「派出所」で、平成6年の警察法改正後から正式名称が「交番」となりました。なお、「こち亀」は連載開始が昭和51年となり、当時の正式名称は「派出所」だったのです。
次に、「交番」と「駐在所」の違いを説明します。「交番」は、複数の警察官が「交」代で「番」をする、交替勤務による24時間体制で警戒活動を行う場所となります。
対して「駐在所」は、1人または2人の警察官が駐在所に居住しながら、地域の安全を守る活動を行います。家族も連れて一緒に生活することもできます。このような違いがあることから、「交番」は都市部に多く、「駐在所」は過疎地に多いようです。
■交番の歴史
明治7年に東京警視庁に「交番所」が初めて設けられました。当時は、警察官が警察署から特定の場所に出向いて交替で立番する形をとっていました。ですが、雨の日や風の日などは大変ということから、明治14年から交番の建物が建てられ、今のような制度で活動することになりました。
「交番所」の名前の由来は、「交替で番をする所」ということから「交番所」といったものと思われます。そして、「交番所」は、明治14年3月に派出所と改称されました。
■「警視庁亀有警察署亀有駅北口交番」が、「こち亀」ファン達の聖地に?
実は葛飾警察署の管轄区域にも、亀有警察署の管轄区域にも、亀有公園前交番はありません。葛飾区亀有公園前派出所(交番)は実在しないのです。
しかし、「亀有公園前派出所」に外見がそっくりな「警視庁亀有警察署亀有駅北口交番」があって、訪れるファンもいるそうです。ここが、「こち亀」ファンにとっての「聖地」なのでしょう。
国際化が進んだ現在の「交番」には、外国人にも分かりやすいようにローマ字で「KOBAN」と書いたシンボルマーク入り案内表示板が設置されるようになりました。『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の連載は終了しますが、これからも、「交番」は時代と共に変わっていくことでしょう。
*著者:フリーライター 近江直樹 (社会保険労務士、行政書士、宅建士、FP技能士など多くの資格を持つ「資格取得の達人」。執筆の他に、企画・編集・インタビューなど、幅広い出版活動を行っている。公式ホームページはこちら、公式ブログはこちら。電子書籍「資格試験のテクニック48」「資格試験を突破するメンタル術」(Links社)が好評発売中。)
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