ゴルスタ運営スタッフによるユーザー情報漏えい問題、ユーザーは運営元に損害請求することは可能か?

「ゴルスタ」という中高生専用限定SNSアプリの運営会社社員が、ユーザーの本名・住所の一部を公式アカウントにてツイートし、個人情報の漏洩ではないかと指摘されています。この問題について、ユーザーは運営会社に損害請求することは可能なのでしょうか? 水田法律事務所の河野晃弁護士に聞いてみました。

写真はイメージです:https://pixta.jp/

 

■社員の行為でも「不法行為責任」として運営会社に損害賠償請求ができる

「基本的には、不法行為責任(民法709条、715条)として運営会社に損害賠償請求をすることができると思います。今回は会社の従業員(運営スタッフ)が民事上違法なことをしており、この従業員に不法行為責任が生じるのは明らかです。加えて、閲覧者からみれば会社の業務に関連した行為といえるので、会社自体にも責任が生じるのです。」

従業員の行動が外からみたら業務に関連するものであるといえれば、会社は従業員の民事上の違法行為について損害賠償責任を負うことになるといわれています。

今回、運営会社の従業員は、円滑な運営を妨げられたというツイートをした上で、ユーザーの個人情報を示しています。このツイートの文面だけみれば、業務の一環として個人情報を流していますから、実際には業務目的ではなく私情に基づいて個人情報を漏洩しているのだとしても、一般ユーザーがこのツイートを見たら業務に関連するものといえるので、会社の責任も問われることになるのです。

 

■「契約責任」として損害賠償請求をすることも可能

「また、ユーザーと運営会社が個人情報の管理に関して約束事を取り交わしている(暗に合意がある場合も含む)といれれば、契約責任(415条)として損害賠償請求をすることも可能だと思います。」

契約関係にある人は、お互いに契約上のルールを守らなくてはいけません。そのルールを破り、損害が発生した場合は、ルールを破られた側は破った側にその損害の賠償請求をすることができます。

今回、ユーザーと運営会社は、中高生専用限定SNSアプリの利用に関して、個人情報の管理に関して約束事(場合によっては、暗黙の了解のような形でもOK)をしているといえれば、その約束を破って損害(精神的苦痛など)を発生させた以上、運営会社はユーザーに対して賠償責任を負うことになるのです。

今日のネット社会においては、誰でも気軽にSNSで発言をすることができ、多くの人がその発言を目にすることができます。しかし、その反面、他人に迷惑をかけてしまうリスクも高いのですから、SNSを使用する人はそのようなリスクがあることを忘れないようにするべきでしょう。

 

*取材協力弁護士:河野晃 (水田法律事務所。兵庫県姫路市にて活動をしており、弁護士生活6年目を迎える。敷居が低く気軽に相談できる弁護士を目指している。)

*取材・文:フリーライター・益原大亮(法律関連の記事の執筆を専門として活動しているライター。自身も平成28年の司法試験に合格し、弁護士になる準備をしているところである。)

*xiangtao / PIXTA(ピクスタ)

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