アイドルグループ解散のきっかけとなった不倫騒動。原因の「小倉優子の夫」を事務所は訴えられる?

有名芸能人などのヘアメイクを担当しているカリスマ美容師・菊池勲氏の不倫が報じられました。菊池氏の妻はタレントの小倉優子さんで、不倫相手は妻が所属する事務所のアイドルグループ「ユルリラポ」のメンバー・馬越幸子さんでした。

「ユルリラポ」はこの10月に解散することになり、不倫騒動がこのきっかけのひとつとなったことは容易に想像がつきます。グループを結成して1年半と少し。セカンドシングルも発売され、ワンマンライブも決まり、さあこれからというところでのできごとでした。所属事務所にとっては大損害です。さて、事務所は不倫相手のカリスマ美容師に損害賠償請求はできるのでしょうか。

なお、不倫の解釈は幅が広く、人によっては既婚者が異性と2人で食事をするのも不倫ですが、ここでは性行為まであった不倫を前提としています。

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■損害賠償請求の対象は債務不履行と不法行為

「損害賠償請求ができるのは、相手に債務不履行があるか、もしくは不法行為がある場合です」と話すのは、和田金法律事務所の渡邊寛弁護士

債務不履行とは、仕入れた商品の代金を契約した期日までに支払わないといった契約上の義務違反。当事者に契約関係があることが前提になります。一方、不法行為は、故意または過失によって、他人の権利や利益を侵害すること。交通事故で言えば、人を轢いたり、他の車に衝突したり、家や工場などに突っ込んだりすることなどが、それにあたります。

カリスマ美容師は、アイドルの所属事務所との間には何ら契約関係はありません。ですから債務不履行は成り立たないということになります。それでは不法行為はどうでしょうか。

まず、夫婦間には貞操義務や貞操権があり、不倫はそれを侵害します。ですから、このカリスマ美容師は、妻に対しては損害賠償責任を負います。しかし、アイドルに対しては、男女関係を避けるべき法的義務を負いません。ですから、アイドル所属事務所はカリスマ美容師に対して損害賠償請求はできないわけです。

 

 ■債務不履行をしたアイドルの責任は?

一方、アイドルは所属事務所と雇用契約を結んでいます。一般的には、不倫は個人的なことです。従業員が社外で不倫をしても、会社は解雇や損害賠償を請求はできません。しかし、アイドルの仕事はイメージが売上を左右するといった特殊性があります。

そうした仕事の人が不倫をし、それが発覚すれば、仕事でどのようなダメージを受けるかは予測できます。事務所は、アイドルとの契約で、自由恋愛までは制限できないまでも、不倫のようなイメージを失墜させる行為を解雇事由や禁止事項とすることは許されるでしょう。ですから、事務所はアイドルに対して、雇用契約の債務不履行を理由に損害賠償を請求できる可能性があります。

それでは、仮にアイドルが淫行条例の対象となる青少年(東京都の場合18歳未満)だったらどうでしょうか。カリスマ美容師の不倫行為は条例違反、状況によっては児童福祉法や児童ポルノ法にも違反する犯罪になります。アイドルの不倫が発覚すれば所属事務所に損害を与えることは予測できます。こうしたケースでは、不倫は青少年に対する淫行の不法行為に当たるので、所属事務所はカリスマ美容師に損害賠償請求できる余地は大いにあるでしょう。

逆にアイドルが既婚者だった場合、カリスマ美容師は、所属事務所に対して損害賠償責任は負いませんが、アイドルの夫に対しては貞操権侵害の不法行為による損害賠償責任を負います。

「このように、立場によって、損害賠償責任は変わってきます。いずれにしても軽い気持ちの恋愛が、時には、高額な損害賠償請求に結び付くこともあるので、ご注意ください」(渡邊弁護士)。

 

*取材協力弁護士:渡邊寛(和田金法律事務所代表。2004年弁護士登録。東京築地を拠点に、M&A等の企業法務のほか、個人一般民事事件、刑事事件も扱う。)

*取材・文:ライター  竹内三保子(編集プロダクション・カデナクリエイト代表。西武百貨店入社後、紳士服飾部、特別顧客チームを経て、経済評論家の竹内宏に師事してライターに。「中小企業」「働く女性」「医療・介護ビジネス」などに関する記事を執筆。共著は『クイズ 商売脳の鍛え方』(PHP)『図解&事例で学ぶビジネスモデルの教科書』(マイナビ)など。)

*Elena Naumchenkova / shutterstock

 

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