現代のデスクワークでは、基本的に着席しパソコンに向かっている状態であることを求められます。頻繁に離席していれば、上司など管理者から「何をしているんだ」と咎められてしまうことでしょう。
社員としてはずっと座っていると肩凝りもひどくなるうえ、能率が下がることもあり、リフレッシュのため離席をしたいところ。しかし、会社によっては、「離席はけしからん」とばかりに、回数を制限することもあるようです。
当然ながら、腹痛など体調が悪い場合、頻繁にトイレに行かなければならないこともあります。離席を制限されては、痛みを我慢しなければならなくなってしまいます。
このような離席回数の制限は違法ではないでしょうか?法律事務所あすかの冨本和男弁護士に、今回の処分について見解をお伺いしました。
Q.会社が離席回数を制限してくる…これは違法ではありませんか?
A.常識の範囲内での制限であれば違法とまで言えません
冨本弁護士:「従業員の職務怠慢を防止するために「1時間に1回数分程度」といった制限であれば違法とまで言えないと考えます。
会社には、従業員の仕事のやり方について指揮する権限があり、従業員には勤務時間中仕事に専念する義務があります。したがって、会社としては、勤務時間中の従業員の離席について一定の制限をすることも可能です。
しかし、常識的に従業員の生命・身体・精神等に支障が生じかねないような制限まで許されるわけではありません。トイレのために「1時間に1回数分程度」離席することは認められてしかるべきです。
また、離席回数・時間の制限に違反した場合の懲戒処分についても、離席の理由・程度・処分の理由・内容によっては懲戒権の濫用と考えます」
実際働く人間としては少々納得がいかないような気もしますが、過度な制限ではなく、1時間に1回数分程度で体調不良時などは除外というようなものなら、違法とならない可能性が高いようです。
離席回数の多い社員に悩んでいるという場合は、常識の範囲内で回数制限を導入するのも、良いかもしれません。もちろん、社員の理解が必要になると思われるのですが…。
*取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)