先日、ある質問掲示板に既婚の女性が面接の際、「仕事を教えてすぐ退職したら困る」などと文句を言われた挙げ句、「長く働くイメージができない」として不採用になったという書き込みがありました。
応募職種は最長5年の契約社員だったそうで、無期雇用の可能性は一切なく、「長く働く」ことは物理的に無理だろうとのこと。
女性は「自分が既婚者だから落とされたのではないか」と憤っています。
■「女性だから」という理由で採用を見送る企業も
昨今「女性の社会進出」が叫ばれており、実際に企業でバリバリと働いている人も大勢存在しています。その一方で、今回のように「妊娠すると辞めてしまうから」という理由で、採用を見送る会社も、未だにあるようです。
女性というだけで採用しないことについては強い批判がありますが、一部企業では「理解できる」という声もあります。
法的に見て、女性というだけで「不採用」というのは許されることなのでしょうか? 法律事務所あすかの冨本和男弁護士に見解をお伺いしました。
■女性だから不採用は許されるのか?
「結論からいうと、女性であることを理由とする採用拒否ですので違法です。雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の第5条に違反します。
この法律は、男女の均等な機会と待遇の確保を図ることや、女性労働者の就業に関して妊娠中・出産後の健康の確保を図ることを目的とした法律です(同法第1条)。
同法第5条は、“事業主は、労働者の募集及び採用についてその性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。”と性別を理由とする差別を禁止しています。
男女を差別するような採用拒否は、不法行為であり損害賠償責任を負うことになりかねません」(冨本弁護士)
雇用は原則男女平等が当たり前。「女性だから」という理由で採用を見送ることは、不法行為になり、損害賠償請求を行うことができるようです。
請求を起こすかどうかの判断は難しいものがありますが、どうしても納得のいかない場合は「出るところに出る」のも1つの手段といえます。
*取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)
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