昨今、求人票の内容と実際の労働環境が違うという事例がたびたび起こりが問題になっていますが、IT企業会社に勤務するOさんもその被害を受けた1人です。
求人の段階で「正規雇用」と聞いていたのに、いざ出勤してみると社長に呼ばれ、「3ヶ月間勤務態度を見て正社員とするか否かを判断する“トライアル雇用”」を打診されたうえ、始業時間も朝10時と聞いていたのに「9時に来い」と言われたそう。
Oさんは他に内定の出ていた企業を断って入社しただけに、「怒りが収まらない」と話しています。現在辞めるに辞められない状況が続いていますが、納得ができないため訴えることも検討しているそうです。
仮に訴えた場合、不当性が認められることになるのでしょうか? ピープルズ法律事務所の森川文人弁護士にお伺いしました。
Q.求人票を信じて入社したら実際は全く話が食い違っていた……会社を訴えることはできますか?
A.ケース・バイ・ケースですが、求人票の内容と明らかに違う場合は提訴可能です。
「具体的な事案によると思われますが、働き出したら求人票と違っていたということがわかった場合は、当然その旨を会社に指摘し、場合によっては解除、そして損害賠償請求はできます(損害の立証等は必要です)。
職業安定法65条では「虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を呈示して、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行った者又はこれらに従事した」場合、「六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処される」と定められており、悪質な場合は刑事罰に処せられる可能性もあります」(森川弁護士)
明らかに求人票と違い、損害等の立証が可能である場合は、損害賠償請求や雇用解除などを求めることができるようです。
「明らかに違う」否かがわからない、判断がつかないという場合は、労働問題に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
*取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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*xiangtao / PIXTA(ピクスタ)
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