「ブラック企業」という言葉はすっかり世間に定着していますが、その定義は曖昧です。
一般的には労働基準法などの法令違反を意図的に行っている企業を指すようですが、違法ではない範囲ギリギリで過重労働を課す会社をブラック企業と認識する人もおり、何をもって「ブラック」とするかは線引きの難しいものです。
明確にブラックかどうかの線引きが難しいことは確かですが、今回の記事では社労士法人と企業の人事に勤務していた経験のある筆者の経験則で、ブラック企業にありがちな特徴を3つ紹介したいと思います。
転職先が(自分にとって)ブラックではないかどうか、求人票などを見る際の参考にしてみてください。
■休日数が少ない
実は法律上の休日は「週に1日または4週間に4日」与えれば問題ないとされています。また、夏季休暇や年末年始休暇も法律上必須なものではありません。
同じ給与額でも年間休日が120日の会社と100日の会社で働くのでは時給換算すると実は給与が違う、ということがありますから、会社の「年間休日数」をチェックするといいでしょう。
ただ、土日祝日が休みでなかったり、夏季休暇や年末年始休暇が存在しなかったりするからといって違法というわけではありません。
■基本給に残業代が含まれている
一見すると基本給が高いように見えても、(基本給には○時間の残業代を含む)とするケースがあります。
このケースも必ずしも違法になるとは限らないのですが、基本給に含まれている残業代の計算が全く間違っていたり、間違っていなくても基本給から残業代を除いて計算すると最低賃金ギリギリになっていたりするケースがあります。
また、このような企業では「込み」となった残業時間を超えても残業代を支給してくれないケースも多く存在します。
■裁量労働制やみなし労働時間制度を拡大解釈している
労働基準法では裁量労働制をはじめ、一定の要件に該当する場合には実際の労働時間が何時間であろうとあらかじめ定められた労働時間働いたものとみなす制度が存在します。
ところが、「一定の要件」に該当しないにも関わらずこの制度を採用している会社が存在します。
筆者の実体験ですが、ただの人事担当者なのにちょっと企画系の仕事があるというだけで「企画業務型裁量労働制」を適用されたことがあります。(本来担当者レベルでこの裁量労働制は適用されません)
以上、ブラック企業にありがちな特徴について3点ご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
求人票を見るだけでも、自分にとってブラックな職場かどうかは結構把握できるものです(労働時間数や残業代、休日数など)。
転職を考える際は是非多くの企業の求人票を比較しながら、少しでも自分にとって条件の良い会社を選ぶように心がけると良いでしょう。
*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。
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