管理職に昇進したけど残業代が出ないから給料は下がる…こんなのアリ?

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業務内容や人間関係なども大切ですが、中でもお給料は無視できない……という人は結構多いのではないかと思います。

給料が上がれば嬉しく思いますし、据え置き、ましては下がってしまっては悲しくなるのも当然かと思いますが、今回は「管理職に昇進したのに残業代が出ないから給料が下がる」場合について、法的な問題が無いか解説してみたいと思います。

 

■法的に残業代がでなくなる管理監督者と扱われるのはどこから?

「部長になると残業代が出ない」などど聞いたことがある人もいるかもしれませんが、それは正確に言うと、「管理監督者になると残業代が出ない」という表現が正しいです。

その管理監督者とは、労働者の労働条件の決定やその他労務の管理について経営者と一体的な立場にある者のことです。

管理監督者に当たる場合、その者は、立場的には経営者側であるため、労働基準法の労働時間規制の枠を超えて活動することが要請され、労働基準法の労働時間・休憩・休日に関する規定の適用を受けません。

そして、勘違いしやすいポイントでもあるのですが、管理監督者に当たるかどうかは、その者に与えられた役職によって判断するのではなく、その者が労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にあるか否かを実態に即して判断すべきであるとされています。

要するに、その者が「部長」・「課長」・「店長」に就任したから管理監督者になるというわけではなく、その者に管理監督者にふさわしい役割・権限・待遇等が与えられているかどうかによって管理監督者に当たるかどうかが判断されることになります。

仮に「部長」であっても、出退勤を厳しく管理され、管理監督者としてふさわしい手当もなく、上の者に逐一報告して指示を仰がないと何も決められないようであれば、管理監督者に当たらず、労働基準法の労働時間に関する規定が適用され残業代も請求することができることになります。

 

■昇進に伴い残業時間が減り、実質の給料が下がるのは問題ない?

管理監督者に昇進して、労働時間がこれまでと変わらず「1日8時間」「週40時間」超えるにもかかわらず、残業代は出ない、管理職にふさわしい手当も出ないというのであれば労働基準法違反の疑いがあります。

これに対し、管理監督者に昇進した結果、労働時間が減り、その結果給料が減ったというのであれば、長時間労働でも残業代の未払いでもなく、人事の裁量ですから、人事権の行使が濫用といえる場合でもない限り、給料が減ったことだけを取り上げて違法ということにはなりません。

 

*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)

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冨本和男
冨本 和男 とみもとかずお 弁護士

法律事務所あすか

東京都千代田区霞が関3‐3‐1 尚友会館4階

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