妻や交際相手よりも母親を大事にする男性、マザコン。交際中はなかなか気がつきづらいため、結婚してから夫がそれに該当することに気がつく人も少なくないようです。
この「マザコン」という言葉ですが、1992年に放送されたTBSドラマ『ずっとあなたが好きだった』内で、佐野史郎さんが異常なほど母親を愛する亭主「冬彦さん」を演じたことがきっかけで広まっていったといわれています。
■「マザコンだから離婚する」ことは可能?
「ずっとあなたが好きだった」では、冬彦の異常なマザコンぶりに配偶者である美和(賀来千香子さん)が愛想を尽かし、最終的に離婚することになります。
「ドラマのなかの話だし……」と考えている人もいるかもしれませんが、「マザコン」の夫に辟易している既婚女性は意外と多いと言われています。その殆どが我慢しているようですが、なかには本気で離婚を考えている人もいるようです。
離婚を決意したとき、気になってくるのがそれが離婚理由になり得るかということ。夫が別れることに同意をすれば問題はありませんが、拒否した場合は民法770条1項に定められた離婚原因が必要となるため、確認しておく必要があります。
離婚原因とは、裁判で離婚を認めてもらうために必要な事情のことをいいます。
離婚原因として、以下のような事情が定められています。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき。
上記のようにマザコンであることのみでは離婚原因に当たりませんので、マザコンであることのみをもってただちに離婚することはできません。
■婚姻を継続しがたい重大な事由に該当するかを吟味する必要あり
そうなると「夫がマザコンだから離婚を認めてください」ということはできないということのように思えますが、必ずしもそうではありません。
マザコンが原因となって夫婦生活が破綻しやり直せない状態になった場合、民法770条1項5号の「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるものとして離婚が認められることになります。
実際に夫がマザコンであることによってどのように夫婦関係に悪化しているかをまとめておき、「このような理由から夫がマザコンであることによって既に結婚生活が破綻しており、もうやり直しができないような状態である」と主張し、それが認められることになれば、離婚できます。
仮にマザコン夫との離婚を考えている場合は、証拠を十分に集めたうえで弁護士と相談してみるのが良いでしょう。
*記事監修弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
【画像】イメージです
*sasaki106 / PIXTA(ピクスタ)
【関連記事】
*芸能界はお咎めなしの場合も…一般人が不倫したら会社で左遷される?
*有名人やお金持ちが払う「慰謝料」が高い…これってホントなの?
*「私以外にも不倫相手がいるわよ」…こんな時に慰謝料は下がる?