厚生労働省は今年1月、受動喫煙防止対策として飲食店などの建物内を「原則禁煙」とする方針を公表。喫煙者から悲鳴があがりました。
この方針に反対する自民党の「たばこ議員連盟」は3月7日、店に分煙・禁煙・喫煙を店舗運営に選択させたうえで店に掲示するという対案を示し、政府と協議していく模様です。
今後厚生労働省の方針がどうなっていくのかは不透明ですが、「たばこを吸う」という行為を規制する動きが活発化していることは間違いありません。
■企業レベルでも「禁煙」の流れ
公共施設や飲食店の禁煙化は進みつつあります。神奈川県は禁煙・分煙を条例で義務化し、概ね受け入れられているようです。また、かつてたばこを吸うことができた電車などの公共交通機関でも、現在吸うことはできません。
さらに、最近は企業でも社員に禁煙を義務付ける会社も出始めており、入社の際に禁煙するよう同意を求められることもあると聞きます。
公共性の高い場所なら禁煙化もやむなしと思えますが、社員にたばこを吸わないよう強要するのは「やりすぎ」で、「たばこを吸う権利」を侵害しているようにも思えます。
ピープルズ法律事務所の森川文人弁護士に、社員禁煙を義務付ける企業について意見を聞いてみました。
■社員に禁煙を義務化する企業はあり?
「最高裁昭和45.9.16判決は喫煙の自由は、あらゆる時、所において保障されなければならないものではない」と判示していますが、厚生労働省の通達は
「今後の受動喫煙防止対策の基本的な方向性として、多数の者が利用する公共的な空間については、原則として全面禁煙であるべきである」「全面禁煙は、受動喫煙対策として極めて有効であると考えられている」(平22.2.25健発0225第2号「受動喫煙防止対策について」)。
と喫煙者にはかなり厳しい状況です。なので、喫煙を権利として主張するのはかなり困難でしょう。喫煙者にとっては、受難の時代ですね」(森川弁護士)
やはり喫煙や受動喫煙による健康被害を防止するという観点から厚生労働省が禁煙を推奨している以上、企業がそれに追随することは「好ましい」ことであるようで、「吸う権利」を主張することは無理筋のようですね。
*取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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*Ushico / PIXTA(ピクスタ)
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