GPSを使って会社が営業マンの居場所を管理…これってプライバシー侵害?

昨今はGPS(全地球測位システム)を搭載した端末を使えば、簡単に対象者の現在地がわかってしまう時代です。警察の捜査にも利用されており、現在「令状なしでGPSを用いた捜査」について、最高裁で正当性を争う裁判が行われています。

このようなGPSを用いた位置確認システムは、警察だけではなく民間レベルでも導入されています。

営業職を中心に上司が各端末から送られてくる位置情報を監視し、「サボり」を防ぐということが実際に行われ、売上がアップしたという事例もあると聞きます。企業側にとっては、ありがたいシステムのようです。

しかし、営業マンからしてみれば逐次居場所をチェックされるのはプライバシーを侵害されているような感覚に陥ってしまいますし、「信頼されていないのか」と不愉快な気分になり、「いくらなんでもやりすぎだろ」と怒りたくなります。

このようなGPSを用いた社員の「位置管理」に違法性はないのでしょうか? ピープルズ法律事務所の森川文人弁護士に見解をお伺いしました。

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Q.GPSを使って営業マンの居場所を管理……これはプライバシーの侵害ではありませんか?

*画像はイメージです:https://www.shutterstock.com/

 

A.業務時間であれば違法ではないという判例がありますが、その目的や方法があまりにもプライバシーに及ぶ危険性があるような態様の場合には、問題とする必要があると思われます。

「『原告が労務提供が義務付けられる勤務時間帯及びその前後の時間帯において、被告が本件ナビシステムを使用して原告の勤務状況を確認することが違法であるということはできない。反面、早朝、深夜、休日、退職後のように、従業員に労務提供義務がない時間帯、期間において本件ナビシステムを利用して原告の居場所確認をすることは、特段の必要性のない限り、許されないというべき』という判例があります(平成24年5月31日 東京地裁)。

この例に従えば、業務時間であれば違法ではない、ということになると思いますが、その目的や方法があまりにもプライバシーに及ぶ危険性があるような態様の場合には、やはり問題とする必要があると思います」(森川弁護士)

業務時間であればGPSを用いた位置確認は「合法」となるようです。世知辛い世の中のような気もしますが、これが現実ということですね。

しかし、勤務時間以外の位置確認は違法になります。どのようにオンとオフを切り分けるかなどの線引きは、新しく出てきた技術だけに意見がわかれるところなのかもしれません。

できれば人間の裁量と良心に任せて欲しい気もしますが、読者の皆さんはいかがでしょうか。

 

*取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)

*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)

【画像】イメージです

*AleksOrel / Shutterstock

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