今は働いている会社とうまくいっていても、いつ関係性が悪化して解雇を通知されるかは誰にも分かりませんよね。会社員として働いている方が最も恐れるものの1つとして「解雇」が挙げられるかと思います。
解雇は通告されないに越したことはありませんが、もしもに備えて解雇について知っておいても損はないと思います。
今回は解雇に関する基礎知識と、解雇の有効性について解説していきたいと思いますので、ぜひご覧ください。
■「解雇」とはそもそも何か
労働者と会社の労働契約が終了するには、以下のような複数の原因があります。
(1)解雇・・・会社からの一方的な解約。
(2)辞職・・・労働者からの一方的な解約。
(3)合意退職・・・労働者と使用者の合意による解約。
そして、「解雇」にも、以下のような複数の種類があります。
(1)懲戒解雇・・・懲戒処分として行われる解雇
(2)普通解雇・・・懲戒処分としての解雇ではない解雇
(3)整理解雇・・・経営事情等により生じた従業員数削減の必要性に基づく解雇
なお、「解雇」のうち、「懲戒解雇」の特色は、以下のとおりです。
・解雇予告も予告手当の支給もなく即時になされる。
・退職金の全部又は一部が不支給とされることが多い。
以上のように、労働契約の終了事由には複数の原因がありますので、例えば、突然「明日から来なくていい」と言われたら、その法的な原因、及びその実質的な理由につき、よく確認することが必要です。
■合法な解雇のパターンと違法な解雇のパターン
「解雇」は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当とであると認められない場合には、無効です(労働契約法16条)。
例えば、「ミスが多い」という理由で解雇された場合であっても、ただ単に「ミスが多い」だけでは足りず、能力不足が著しい程度に達している必要があります。
業務上要求される注意義務の程度、ミスの重大性及び頻度、業務に与える影響、改善の見込み、入社の際の労働契約で合意された職務遂行能力等諸般の事情を考慮して、解雇が有効かどうかが判断されます。
裁判例では、医療品等の製造販売を営む会社において、営業等の仕事に従事していた従業員について、複数回5段階評価の下から2番目の「標準を下回っており、ミスや問題が多い」という評価を受けていても、それ以前は概ね「標準」の評価を受けていたこと、会社の営業自体が不振であったこと、慣れない業務であったこと、ミスなく業務を行うことができる職種もあること、降格を行うことも可能であること等を理由として、解雇は無効とされた事案があります(大阪地判H14.3.22労判832.76)。
具体的には、事案に応じてケースバイケースで判断されますので、弁護士に相談してみてくださいね。
*著者:弁護士 小澤亜季子(センチュリー法律事務所。「依頼者のお気持ちに寄り添い傾聴すること、なるべく早く具体的な解決策を提案すること、そのための費用がいくらかかるのかを明確にすることを心がけております」)
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