平成29年2月20日、削除代行業者が違法であるとの判決が出されました。
この裁判例にどのような意味があるのかを解説してみたいと思います。
そもそも「削除代行業者」って?
「削除代行業者」とは、被害者に代わってサイト側に削除要請を行う業者です。
インターネット上で、“ネット上の書き込みを削除します”という広告を目にすることがありますが、弁護士や法律事務所以外の事業者・法人が出しているものは、削除代行業者である可能性が極めて高いでしょう。
なぜ違法と判断された?
削除代行が「法律事務」に該当するためです。
「法律事務」を弁護士以外が行うことは、法律で禁止されています。
結果的に削除できれば、弁護士でも業者でもいいのでは?
削除代行業者には何の資格もありませんし、国の監督が直接及ぶわけでもありませんから、適切に仕事をすることについて何の担保もないのです。
そのような業者に、自分の権利義務や個人情報を預けることは非常に危険です。
また、悪質な業者の中には、依頼者の誹謗中傷等の書き込みを自ら行って、延々と報酬をむしり取ろうとする者もいます。
そのため、削除代行業者は徹底的に排除されなければならないのです。
また、削除代行業者に依頼を続けることは、違法な業者に金銭を支払うことを意味しますので、コンプライアンスの観点からも問題です。
削除代行業者に支払った報酬は返金請求できる?
削除代行業者に支払った報酬は、“全額”返金請求の対象になります。
違法な事業であって契約が無効だからです。
契約書に押印していても、返金が請求できます。
また、削除に成功したため納得して報酬を支払ったという場合でも、返金請求が可能です。
自分が返金請求ができるかどうかはどう判断すればいい?
・連絡の窓口が法律事務所でない
・報酬支払先の口座名義が弁護士(弁護士法人)でない
このような場合は、ほとんどのケースで返金請求ができます。
削除代行業者の中には、「削除要請は提携弁護士に依頼している」などとしているケースもありますが、そのような場合でも、上記にあてはまる場合は返金請求できる可能性が高いといえます。
削除代行業者を現在利用している、又は過去にしたことがあるの方は、一度弁護士に相談されることをお勧めします。
*著者:弁護士 渡辺 泰央(四谷コモンズ法律事務所。インターネットトラブルやWEBに関する事案を多く取り扱う。運営サイト「WEBに関わる法律講座」)
【参考】
*朝日新聞DIGITAL:ネット記事削除ビジネスの違法性認定 東京地裁
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*muhamad mizan bin ngateni / Shutterstock
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