倒産弁護士の肌感覚として、年末・年度末は、会社の破産が多くなるように感じます。
朝、いつものように出社したのに、突然、社長から「当社は本日、裁判所に破産を申立てました。」と言われたら、誰だって頭が真っ白になり、何も考えられなくなりますよね。
そんな万が一の事態に備えて、勤め先が破産したらするべき5つのことをご紹介します。
■1. “破産管財人”弁護士、“申立代理人”弁護士の連絡先をチェック
会社が破産を申し立てると、裁判所から“破産管財人”弁護士が選任されます。
今後の破産手続に関する不明点などは、原則としてこの“破産管財人”弁護士に問い合わせることになりますので、まずは、“破産管財人”弁護士の連絡先(名前、法律事務所名、電話番号、FAX番号、メールアドレス等)を控えましょう。
また、会社側で破産手続を行った“申立代理人”弁護士の連絡先も控えておくとよいでしょう。
■2. 会社都合退職の離職票を作成してもらい、失業保険を受け取る
失業保険を受け取るために、会社に、会社都合退職の離職票を作成してもらいましょう。そして、その離職票を持参の上、ハローワークに行き、離職票を提出して、失業保険を受け取る手続をしましょう。
具体的な手続きは、会社の人事担当者や、会社の顧問社会保険労務士、または破産管財人に確認するとよいでしょう。
■3. 健康保険の切替を行う
会社が破産すると、現在使用している健康保険証は使えなくなります。そこで、任意継続健康保険又は国民健康保険に加入し直しましょう。
どちらに加入した方がよいか、また具体的な手続きは、会社の人事担当者や、会社の顧問社会保険労務士に確認するとよいでしょう。
■4. 国民年金に加入する
年金についても、会社破産後は、国民年金に加入することになります。なお、国民年金保険の免除制度がありますので、この手続きも加入時に行うとよいでしょう。
具体的な手続きは、会社の人事担当者や、会社の顧問社会保険労務士に確認するとよいでしょう。
■5. 未払給与や退職金がある場合、未払賃金の立替払請求をする
未払給与や退職金があり、残念ながら、会社にこれらの賃金を支払うお金が残っていない場合、未払賃金の立替払請求をしましょう。全額ではなく(8割まで、但し上限有)、また支払われるまでに少し時間はかかりますが、労働者健康福祉機構が会社に替わって未払賃金を支払ってくれます。
具体的な手続きは、1.でチェックした“破産管財人”弁護士や“申立代理人”弁護士に問い合わせましょう。
以上、万一の時には、上記を実行の上、気持ちを切り替えて再就職に向けがんばりましょう!
*著者:弁護士 小澤亜季子(センチュリー法律事務所。「依頼者のお気持ちに寄り添い傾聴すること、なるべく早く具体的な解決策を提案すること、そのための費用がいくらかかるのかを明確にすることを心がけております」)
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