多くの会社員にとって、「年末調整=税金がちょっと戻ってくる」というように、年末調整をプチ臨時収入として捉えている方が多いのではないでしょうか。
実際、毎月徴収されている所得税は「年間のボーナスが基本給の5ヶ月分あること」を前提にしているため、そんなにボーナスの支給がない会社員のほとんどは何もなくても年末調整で税金が還付されるようになっているのです。
ただ、今年の年末調整の結果を見て、「どうも例年より還付金が少ない気がするぞ・・・?」と思われた方もいるはずです。これは一体何が原因なのでしょうか?
Q.今年の年末調整では戻ってきた税金が減ったのはどうして?
A.収入アップや扶養者数の減少、住宅ローン残高など様々な要因が考えられます。
所得税は1年間(1月から12月)トータルの所得額によって決まることになります。そのため、多くの企業では12月に年末調整を行い、12月や1月の給与で税額の過不足を行なっているのです。毎年11月ごろになると会社から「扶養控除等申告書」「保険料控除申告書」という書類が渡されるのは年末調整を行うためにこれら書類が必要になるからです。
所得税は累進課税制度(所得が高いほど税率が上がる制度)なので、年度途中で年収が急にアップした方は税率が途中で跳ね上がり、年末調整の結果、還付額が少なくなったりあるいは「追加徴収」されたりといったことが起こり得ます。
また、所得税は扶養する人の人数などの個人的な事情によって各種控除を受けることができたり、住宅ローンの残高に応じて税額控除を受けたりすることができるため、これらの変動(子供が独立して扶養から外れた、住宅ローンの繰上げ返済でローン残高が減った等)によってこれまで受けられていた控除が受けられなくなったり、あるいは控除額が減ったりすることがあるのですね。
そのため、今年の還付金が減った、と感じる人は恐らく上記のいずれかに該当するはずです。
*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。
【画像】イメージです
*よっし / PIXTA(ピクスタ)
【関連記事】
*1年未満で会社を辞めてしまうと実は損することがある…それってナゼ?
*雇用条件が「みなし残業手当」の場合、何時間残業しても手当は定額って本当?
*「年金制度改革法案」が参院で審議入り…なぜ「年金カット法案」って言われているの?