近年ではライフスタイル・キャリア観の多様性に配慮するため、いわゆる総合職の中でも全国転勤などを伴わない「地域正社員」(限定正社員)という雇用区分を新たに導入する企業が増えてきました。特に「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングのように、全国に店舗展開している企業でこの制度を採用しているケースが多いようです。
ただ、この「地域正社員」という雇用区分ですが、実際のところは法的に正社員やパートなど他の雇用区分と何がどう異なるのでしょうか?
Q.「地域正社員」の法的な位置付けは正社員やパートとどう違うの?
A.法的には正社員と全く同じです。ただ、会社ごとに適用される人事制度や就業規則が正社員と区別されている場合があります。
まず、法的に地域正社員という言葉はありません。現在の労働法が想定している区分は以下の2つだけです。
(1)契約期間に定めがあるのかないのか(いわゆる正社員なのか契約社員なのか)
(2)労働時間がフルタイムかどうか(パート・アルバイトに該当するか)
そのため、ここでいう地域正社員というのが通常の正社員と比較して「単に全国転勤がないだけ」なのであれば、法的には正社員と何も変わることはありません。通常の正社員と同じ労働基準法が適用されることになります。
ただし、地域限定にしている以上、責任や権限などに差が生じることとなるため、会社によっては通常の正社員と「人事制度」や「就業規則」を区別していることがあります。つまり給与水準や賞与、退職金の有無など待遇や福利厚生面で差が設けられることがあるということになります。
人事制度や就業規則は会社がある程度自由に定めることができるため、正社員と地域正社員は法的な区分は同じであるものの、待遇などの差がどれだけ大きいのかは、会社ごとに異なってくると言えるでしょう。
*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。
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