12月に入り、北海道・東北・北陸などの豪雪地帯では雪の日が増えてきました。ドライバーにとっては、気を遣うことが多い時期に入っています。
「スリップしないように走る」、「しっかり車間距離をとる」など、事故を起こさないように心がけることはたくさんあります。
意外と盲点になりやすいのが歩行者への気配り。動きに注意するのは当然ですが、雪でぬかるんだ道から放たれる泥や水をかけないようにしなければなりません。
90年代のトレンディ・ドラマでは、失恋した主人公が雨の日に歩道を歩いていると、タイミングよく車が通りがかり水をぶっかけられ「バカヤロー」と怒鳴ることがありますが、じつはその行為は道路交通法違反になるようなのです。
このような経験をしたことがある人少なくないと思われるだけに、違反というなら運転手を捕まえて罰を受けさせたいところ。しかし、実際のところそのような判例は聞いたことがありません。
本当に泥をかけた車の運転手を罰することはできるのでしょうか?
Q.歩行者に泥や水をかけたドライバーを捕まえて罰を受けさせることはできる?
A.現行犯で捕まえたうえ、罪を立証できれば可能
道路交通法第71条1号に「ぬかるみ又は水たまりを通行するときは、泥よけ器を付け、又は徐行する等して、泥土、汚水等を飛散させて他人に迷惑を及ぼすことがないようにすること」と定められています。また、道交法120条9号では、同71条1号の違反について5万円以下の罰金に処する旨定められており、罰金を伴う交通違反であることは間違いありません。
しかし、実際に捕まえて罰を受けるさせるのは容易ではありません。その理由は、立証が難しいから。一般的に水や泥を引っ掛けた車は、そのまま去ってしまうのが通例です。
よって、確実にその車の運転手が泥をかけたという立証は難しいのですが、逆にいえば、動画や第三者の証言などで確実に立証できれば可能といえます。
また、汚れた服のクリーニング代を求めるということになると民事の問題となりますが、こちら運転者が走り去ってしまった場合、その運転者を探し出し、確実にその運転者が汚したという立証が必要となります。現実的には、不可能といっても過言ではないかもしれません。
やはり罪を認めさせるのは、なかなか難しいようですね。
*記事監修弁護士:伊東亜矢子(三宅坂総合法律事務所所属。 医療機関からの相談や、 人事労務問題を中心とした企業からの相談、離婚・ 男女間のトラブルに関する相談、 子どもの人権にかかわる相談を中心に扱う。)
*取材・文:佐藤俊治(複数メディアで執筆中のフリーライター。真面目な話題からくだけた話題まで手広く記事を執筆中。趣味は将棋、好物はカツカレーとパインアメ。)
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*セーラム / PIXTA(ピクスタ)
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