「ポケGO運転」死亡事故に全国初の実刑判決…「ながらスマホ」の今後を弁護士が解説

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10月31日、自動車の運転中にスマートフォン向け人気ゲームアプリ「ポケモンGO」を操作していて女性2人をはねて死傷させたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に運転手が問われていた判決で、禁錮1年2月(求刑禁錮1年8月)の判決が下されました。危険性が懸念されていた、運転時の「ポケモンGO」操作が原因で起きた交通事故の中でも、国内初の死亡事故だったため注目が集まっていた判決でした。

この事件は、起こるべくして起きたものという他ありません。携帯電話が普及し、ついでスマートフォンが普及。自動車の運転手が、これらを片手に操作しながら運転している姿はよく見かけられるようになりました。さらに操作しているのがゲームということになると、ちょっとチラ見するくらいでは済まなくなり、前方不注視による事故が多発することは容易に想像できました。

これまでも、平成16年の改正で道路交通法第120条第1項第11号に運転中に携帯電話等をかけたり、画面を見たりしただけで、罰則規定が設けられましたが、「5万円以下の罰金」と比較的安い金額が設定されていました。現在の状況を考えると、この部分から罰則強化をしていかなければなりません。

 

■直線道路なのに「ながらスマホ」で被害者に気付かなかった過失は大きい

本件の裁判では、平成25年に施行された自動車運転処罰法第5条の過失運転致死傷罪が問われたもので、「ポケモンGO」に夢中になった運転手に「前方不注視」の過失が認定されたものでした。裁判官は判決理由の中で、「『ながらスマホ』による前方不注視で、直線道路なのに被害者に全く気付かない過失は非常に大きい。単純な過失とは一線を画する」と示し、禁錮1年2月の実刑判決を言い渡しました。個人的には理由の割には、刑期が短い印象があります。

このような「ながらスマホ」による事件、事故は、今後もスマートフォンがある限りなくならないように思います。スマートフォンの利用者を罰するだけではなく、スマートフォンやアプリを提供する事業者も責任を取らなければならないような、法制化の必要があるのではないかと思います。

 

*著者:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)

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小野智彦
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