労働組合とは、自分たちの権利を守るために労働者が連帯して活動する集団のことです。2015年12月に発表された厚生労働省の「労働組合基礎調査」によると、その数は年々減少を続けており、2010年に2万6,367だった労働組合の数は、この5年間で毎年1%ほど減少。2015年には2万4,983にまで減っています。
政治色が強いイメージがあって、自分の思想には合わないと避けている方もいると思いますが、ビジネスパーソンとして、「労働組合法」を知っておくことは重要です。
労働組合法とは「労働三権」を保障するための法律の一つです。この法律では、労働組合の結成や使用者との団体交渉・ストライキといった労働争議に関する免責要件などが定められています。
近年、企業で「労働組合」が減っているかわりに、「ユニオン」という組織が増加しているという話をよく耳にするようになってきました。労働者の権利を守る上で、この2つの組織の違いを押さえておくことも大切です。
そこで、労働問題に詳しい三宅坂総合法律事務所の伊東亜矢子弁護士に労働組合法についてお話を伺ってみました。
*取材協力弁護士:伊東亜矢子(三宅坂総合法律事務所所属。 医療機関からの相談や、 人事労務問題を中心とした企業からの相談、離婚・ 男女間のトラブルに関する相談、 子どもの人権にかかわる相談を中心に扱う。)
■「労働組合」と「ユニオン」の違いを知る
まずは労働組合法について、ビジネスパーソンとして知っておきたいポイントと「労働組合」と「ユニオン」の違いについて確認しておきましょう。
「使用者と労働者個人との関係は対等ではないため、労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することを目的として労働組合法が定められています。
労働者は労働組合に加入して団体交渉等を行うことができます。使用者は労働者が労働組合に加入したことなどを理由に、不利益な取扱いをしたり、正当な理由なく団体交渉を拒否したりすることはできません。
また、労働組合とユニオンの違いについてですが、どちらも労働組合です。単に労働組合と言えば、主として企業別組合(特定の企業・事業所に働く労働者を対象とするもの)のことを指します。この他に、複数の企業や異業種の企業の構成メンバーになっている労働者個人が加入できる労働組合があり、それを一般的にユニオン(又は合同労組)と呼んでいるのです。
ユニオンには、パートタイム労働者や派遣労働者などを対象とするもの(コミュニティ・ユニオンと称されるもの)もあります。」(伊東弁護士)
保守、リベラルといった政治思想とは関係なく、労働組合とは労働者を守るための活動です。個々に分断されてしまうと非常に弱い立場になる労働者は、連帯して自分たちの権利を守る必要があるのです。したがって、強制ではありませんが、必要に応じて組合の活動に参加することや、サポートを求めるということも選択肢の一つとして認識しておきましょう。
また、ブラックバイト問題など、アルバイトやパートといった非正規雇用者の労働環境が劣悪になりやすいのは、労働組合に加入できないことが多かったという側面もあります。伊東弁護士が解説されている通り、非正規雇用者も加入できるユニオンもあるそうなので、気になる方は、一度確認してみると良いでしょう。
*取材協力弁護士:伊東亜矢子(三宅坂総合法律事務所所属。 医療機関からの相談や、 人事労務問題を中心とした企業からの相談、離婚・ 男女間のトラブルに関する相談、 子どもの人権にかかわる相談を中心に扱う。)
*取材・文:塚本建未(トレーニング・フットネス関連の専門誌や、様々なジャンルのWebメディアを中心に活動するフリーランスライター。編集やイラストも手がける。塚本建未Website 「Jocks and Nerds」)
【画像】イメージです
*miya227 / PIXTA(ピクスタ)
【関連記事】
*勘違いしがちな「有給休暇制度」…ちゃんと利用するために知っておくべき3つのポイント
*勘違いしがちな「残業代のルール」…年俸制だと残業代が出ないって本当?
*残業時間の上限は1カ月で45時間!?「36協定と長時間労働」の意外なカラクリ