年末年始の短期バイトで「購入ノルマ」を強制された…法的に防ぐ手段とは?

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年末年始といえば、クリスマスや、お正月といったイベントが目白押し。この時期に、短期バイトでお金を稼ごうと思っている学生さんも多いのではないでしょうか。実際に11月頃から「短期バイト」といったワードの検索数も増えるそうです。そんな年末年始の短期アルバイトといって、思い浮かぶもののひとつが、サンタクロースやトナカイの衣装でコスプレをして、スーパーやコンビニでクリスマスケーキを売る売り子さんです。

こうした売り子の短期アルバイトで近年問題になっているのが「購入ノルマ」トラブル。コンビニやスーパーの本社からノルマを強いられる店舗が、クリスマスケーキやおせち料理などの予約購入を短期アルバイト採用者に強制するといった問題が少なくないのです。

そこで、雇用先から「購入ノルマ」のようなものを強要されるような事態に巻き込まれないための法的知識を、労働トラブル問題に詳しい三宅坂総合法律事務所の伊東亜矢子弁護士にお話を伺ってみました。

*取材協力弁護士:伊東亜矢子(三宅坂総合法律事務所所属。 医療機関からの相談や、 人事労務問題を中心とした企業からの相談、離婚・ 男女間のトラブルに関する相談、 子どもの人権にかかわる相談を中心に扱う。)

■「購入ノルマ」に従う必要は一切なし

以前、千葉県内のスーパーで「クリスマスケーキ購入のお願い」という文書が店長からパート従業員に配布されたことで問題になったことがニュースで報道されました。こうした“お願い”という名の強制に対して、短期アルバイトスタッフは、どのように対応すれば良いのでしょうか。

「雇用契約上、労働者が負う債務は『労働に従事すること』であり、『雇用先の商品を購入すること』は債務ではありません。 雇用先から売上『ノルマ』未達成分の商品の購入を強く迫られた場合、きっぱりと断って構いません。断り切れずに購入してしまったような場合でも、どのような状況で購入を迫られたのか、状況をできるだけ記録に残し、刑事上、民事上の責任追及をすることも考えられます。」(伊東弁護士)

こうした「購入ノルマ」問題ですが、中にはあらかじめ給与から天引きするといった悪質なケースもあるそうです。商品の強制購入は「強要罪」で3年以下の懲役に該当します。短期アルバイトでも、労働法によってきちんと保護されていますので、年末年始を楽しく過ごすためにも、こうした違法行為に対しては毅然とした態度で臨みましょう。

 

*取材協力弁護士:伊東亜矢子(三宅坂総合法律事務所所属。 医療機関からの相談や、 人事労務問題を中心とした企業からの相談、離婚・ 男女間のトラブルに関する相談、 子どもの人権にかかわる相談を中心に扱う。)

*取材・文:塚本建未(トレーニング・フットネス関連の専門誌や、様々なジャンルのWebメディアを中心に活動するフリーランスライター。編集やイラストも手がける。塚本建未Website 「Jocks and Nerds」)

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*ZukkA / PIXTA(ピクスタ)

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