■離檀料を払う必要はあるのか
こちらも最近相談の多い事例です。檀家が減るのを避けるために近年寺院側が考えたものと言われていますので、契約もなければ慣習としても成り立っておらず、ほぼすべての事例において法的には支払義務がありません。
いままで檀家としてお付き合いもあったので、トラブルを避けるためには支払ったほうが…と考えてもいいのですが、「離檀料は50万円です。」などとまとまった金額を言われるとためらいますね。
離檀料を提示された場合は、内訳や他の方の相場を聞いて、納得できるかどうかを判断するといいでしょう。墓地を更地に戻す原状回復費用や、石材屋さんの工賃等が含まれている場合には納得できる金額の場合もあります。
■離檀料を不当請求される場合もあるので要注意!
具体的な事例としては、「離檀料を払わないといったら『改葬許可申請書(お墓の引越しのために必要な書類)にはんこを押さないぞ!』と言われて困りました。」というケースがあります。金額にもよりますがこれは不当請求なので、支払義務はありません。
なお、お骨は墓地所有者のものなので、離檀料を払わない場合でも住職がお骨を引き渡さないことは許されないのですが、住職が許さなければ事実上お墓(お寺)に立ち入ったり、搬出ができなくなったりすることがあるので、こじれてしまった場合は専門家に相談したほうがよいです。
なお、住職との関係がこじれた場合、弁護士や認定司法書士以外は代理人になれませんので、結局、自分で解決しなければならなくなったり、弁護士法違反の自称専門家に委ねてしまったりすることがありますので、この点には注意してください。
*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング。)
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*涼然 / PIXTA(ピクスタ)
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