先祖代々の土地を子供に引き継ぎたい!「遺言書」の基本を弁護士が解説!

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先祖から代々引き継いだ大切な家や土地、家にある思い出を大切に引き継いで誰かに住んでほしい、自分が亡くなっても家や土地は売らないで! そんな願いを持つ、長野県上田市に家と土地を持つ40代のご夫婦を例に挙げて、不動産の相続についてお話します。

不動産の相続において、もっともポイントとなるのが「遺言書」の内容です。そこで、遺言書の作成方法に関して注意すべきことを、虎ノ門法律経済事務所・池袋支店の鈴木謙太郎弁護士に伺いました。

*取材協力弁護士:鈴木謙太郎(1972年の設立以来40年以上の歴史がある、虎ノ門法律経済事務所の池袋支店で支店長を務める。注力分野は遺産相続、不動産取引、交通事故、債権回収、労働問題、債務整理、刑事事件、離婚等。「皆様の人生の一大事を共に解決するパートナーとして、真摯に業務に取り組んでまいります。」)

 

■不動産の相続を考えた遺言書とは?

A夫妻は長野県上田市に住む40代のご夫婦。夫(A氏)の母(父は逝去)と同居しており、親から引き継いだ家と土地に暮らしており、自身の子供たちにもこの家と土地を引き継ぎ、決して売ることのないようにと願っています。心配なのは、A氏の母が亡くなった後のことです。A氏は4人兄弟。仲の良くない末の弟がA氏の母が逝去した後、相続について何か言ってくるのでは…と心配です。A氏は弁護士に相談したところ、A氏の母に遺言書を書いてもらってはどうかとアドバイスを受けました。

「遺産分割は遺言者の意思尊重の意味から、遺言による分割指定の方法があれば、それに従います。遺言による指定がなければ共同相続人の協議によります。協議がまとまらない場合は調停分割、審判分割が行われます。」(鈴木弁護士)

 

■遺言書を作成する場合、一番簡単な方法が「自筆証書」

遺言書は大きく分けて、自筆証書、公正証書、秘密証書の3種類がありますが、ここでは利用されることが多い自筆証書、公正証書に絞って解説していきます。

まず、遺言書は15歳以上で意思能力があれば、誰でも作成できますが、厳格な方式に従わなければ、法律的には効力がありません。

「自筆証書遺言は、遺言者がその全文と日付、氏名を自書し、押印しなければいけません。遺言書中の訂正や変更は、遺言者が場所を指示し、変更したことを付記して署名し、変更箇所に押印しなければ、その効力を生じません。

したがって、自筆証書遺言では、パソコン等による作成や他人に代筆をさせること、テープでの録音やビデオによる録画は認められません。

一方、判例上、自筆証書遺言と認められたものとして、カーボン紙を用いた遺言書、他人の助けを借りて書いた遺言で他人の意思が入っていないことが筆跡からわかる遺言、があります。」(鈴木弁護士)

自筆証書遺言の場合、相続開始後に家庭裁判所で、相続人や受遺者全員の立会いの前で遺言書の存在と内容を確認する「検認」と呼ばれる手続をとる必要があります。 自宅などの不動産の記載については、不動産の登記(事項証明書)の記載通りに記載する必要があります。

 

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