いよいよシルバーウィークも目前に迫り、観光スポットでは連日多くの人で賑わうことが予想されます。しかし近年、観光地において観光客のマナーの悪さから、立ち入り禁止や撮影禁止のエリアを増やす自治体なども出てきています。
また、マナー違反はもちろん、実はその行為が法律を犯している可能性もあります。今回は楽しい観光のはずが、警察のお世話になってしまう可能性もある6つの行為をご紹介します。法的にどんな理由でNGなのかを把握しておくことはもちろん、周りの迷惑になる可能性もしっかり頭に入れておきましょう。
■①撮影禁止の場所で撮影する
自由に出入りできる場所での撮影は、基本的には犯罪となりません。
著作権法46条で「美術の著作物でその原作品が……屋外の場所に恒常的に設置されているもの又は建築の著作物は、次に掲げる場合を除き、……利用することができる」と規定されているからです。ただし、建物内部の美術彫刻作品の無断撮影は、「著作権法違反」となることがあります。
■②立ち入り禁止の場所に入る
刑法上の「建造物侵入罪」、「住居侵入罪」となる場合があります。
寺院などの建造物内部だけでなく、敷地部分も建造物侵入罪の対象に含まれます。したがって、一般公開されていない立入禁止区域への立ち入りは、「建造物侵入罪」、「住居侵入罪」となる可能性があります。
■③国立公園の石、木などを持ち帰る
「自然公園法違反」となります。
自然公園法では、自然公園(国立公園、国定公園及び県立自然公園)の区域内において、工作物の新築、木竹の伐採、土石の採取、土地の形状変更等について、許可が必要とされています。無断で持ち帰ることはできません。
■④建物や石碑などに傷をつける、植物を踏みつぶす
観光地を管理する人や団体の所有であれば、「器物損壊罪」となります。
歴史的価値が高ければ、高額な賠償を求められることもあり、絶対にやめましょう。
■⑤大声で騒ぐ
子供が走り回ったり、騒ぐ程度であれば問題ありませんが、他の観光客を困らせるような著しい騒ぎ方の場合、「威力業務妨害罪」となることがあります。
■⑥禁煙場所での喫煙、ポイ捨て
条例で禁煙区域に指定されていなければ、犯罪とまではなりません。ただし、煙やポイ捨てで建造物や美術品が傷めば、「器物損壊罪」となることがあります。
■並んでいる順番を不正に抜かしたり、横から列に割り込む行為は違法ではない
この行為は法的には犯罪とはならず、民事上も損害賠償請求ができるような違法性はないでしょう。
なお、軽犯罪法1条13号に「割当物資の配給に関する証票を得るため待っている公衆の列に割り込み、若しくはその列を乱した者」を科料又は拘留に処するという規定がありますが、観光客の順番待ちには適用されません。
戦時中などの円滑な配給実施を図るための規定であり、現代ではまず適用されることがない古い規定ですが、今も効力を有しています。
以上のように、意外とも思える行為が違法行為となっている場合がありますので、知らぬうちに犯さないように気をつけて下さい。また、法律違反はもちろん、マナー違反、迷惑行為にも十分気をつけて誰もが楽しめるような観光地にしたいですね。
*この記事は2014年12月に掲載されたものを再編集しています。
*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)
【画像】写真はイメージです
*shimanto / PIXTA(ピクスタ)
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