違反件数が過去最多!「下請法」で知らないうちに違反しないための気をつけるべき4つのポイント

不公正な取引方法等を取り締まる公正取引委員会は、2015年度の下請法違反による指導件数が5,980件で過去最多となったことを今年6月に発表しました。

下請法は、親事業者による優越的地位の濫用防止・規制を趣旨とする法律であり、思うように景気が好転しない経済情勢が指導件数増加の要因となっていると考えられます。最近では大手コンビニエンスストアのファミリーマートが、プライベートブランド商品の製造を委託している業者に支払う代金を不当に減額していたことが下請法違反に当たるとして、公正取引委員会から再発防止勧告を受け話題となっていました。開店セールでの売れ残りや値引き分の代金、電子カタログ製作費の一部などを負担させていたそうです。

親事業者としては、下請業者に不利益を強要して下請法に違反してはならないことはもちろんですが、その会社では慣行になっているけれど実は下請法に違反しているということに気づいていないこともあるかもしれません。

今回は、「こんなことも下請法違反でアウト!」という意外なものを紹介し、注意喚起をしていきたいと思います。

※写真はイメージです:https://pixta.jp

 

■違反①振込手数料を差し引いた上での代金支払い

下請法は、発注後の下請代金減額を禁じています(下請法4条1項3号)。そして、法律上は減額された金額の多少を問いませんから、下請業者の同意なく下請代金の振込手数料を差し引いて送金することは下請法違反となります。

なお、同様に、消費税額相当分を支払わないことも下請法違反となります。

 

■違反②「協賛金」、「販売促進費」等を差し引いた上での代金支払い

代金減額が許されるのは下請業者に帰責事由(過失)がある場合だけですので、下請業者が親事業者に対して「協賛金」、「販売促進費」を支払うことに同意していたとしても、下請代金から「協賛金」等の額を差し引いて下請代金を支払うことはできません。はじめに紹介したファミリーマートの件では、下請業者に帰責事由がないのに「開店時販促費」等を支払わせたことが下請法違反に当たると指摘されています。

なお、上記の振込手数料のように親事業者の負担した実費分については、同意があれば下請業者に負担させることは可能です(上記参照)。

また、下請法ガイドラインでは、ボリュームディスカウント(親事業者が一定期間内に一定数量を超えた発注を行った場合に下請業者が支払う割戻金)のような「合理的理由に基づく割戻金」については下請代金の減額には当たらないとされていますが、要件をきちんと確認する必要があります。

 

■違反③内容不明確な「販売促進費用」を支払わせること

親事業者が顧客拡大のために卸売業者等に販売促進費用を払っている場合等において、説明なく下請業者にその一部を負担させることは、不当な経済上の利益の提供要請となり下請法違反となります(下請法4条2項3号)。

他方で、親事業者が、事前に、⑴販売促進費用等の協力金の目的、⑵協力金の額、⑶その算出根拠、⑷協力金の提供とそれによって得られる下請業者の利益との関係を明確に示した上で下請業者の直接利益性があると説明した場合であれば下請法違反とはなりません。

 

■違反④知的財産権の無償・低廉な額での譲受け・許諾

契約上、下請業者が作成した物に発生した知的財産権を親事業者が取得する旨が定められていない場合において、無償で下請業者から親事業者に対して譲渡・許諾させることは、不当な経済上の利益の提供要請となります。

また、契約上で知的財産権を親事業者が取得する旨が定められていたとしても、対価が通常よりも低廉である場合は、買いたたきとして下請法違反となる可能性があります(下請法4条1項5号)。

 

下請法違反の取引を行うと、公正取引委員会による勧告の対象となったり、下請業者から不当利得返還請求を受けたりします。

気づかずに下請法違反行為を繰り返していた場合には、時期を選べず一括して不当に得た利益を吐き出すことになり、経営悪化を招くことにもなりかねません。この機会に一度契約書を見直してみてはいかがでしょうか。

 

*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング。)

【画像】写真はイメージです

*Graphs / PIXTA(ピクスタ)

【関連記事】

【PCデポ問題】従業員が「トウゼンカード」をネットに流出。違法性は会社、従業員のどっちにある?

カラオケ「シダックス」の大量閉店。従業員が突然解雇されたら法的保障はあるのか?

大手保育園で横行する労働基準法違反。親が保育園を訴えることはできるのか?

「働き方改革」でどう変わる?「残業トラブル」でチェックしておきたい事例を弁護士が回答

あなたの会社は大丈夫?「粉飾決算」と「資金の私的流用」はどんな罪に問われるのか

 

木川 雅博 きかわまさひろ

星野・長塚・木川法律事務所

東京都港区西新橋1-21-8 弁護士ビル303

弁護士保険「Mikata」

コメント

コメント