批判相次ぎ破産者マップが閉鎖|違法性について弁護士が解説

「破産者マップ」というサイトが物議を醸しています。

上記サイトは、官報に掲載されている破産者の個人情報が、マップ上に表示されるというもの。

掲載された破産者からも苦情が殺到していると見られ、ネット上でも批判が相次ぎました。

 

19日未明にサイト閉鎖

そして、今月15日頃にネットで話題になってからわずか4日目の19日未明、サイトは閉鎖され、現在はアクセスできなくなっています。

 

当初管理者がSNS上で語っていた見解は、「あくまで官報で公開されている情報を利用しているため(違法性は)ない」というものだったようです。

 

では、実際に管理者に非はないのでしょうか?

銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士に見解をうかがいました。

 

不法行為が成立する可能性はある

齋藤弁護士:
「場合によっては、不法行為が成立し、損害賠償義務を負うことになるでしょう。

 

破産をして免責が通れば、今まで借りた借金などが、わかりやすく言えばゼロになります。

真っ当に借金を返済している人からすれば、感情的なものが生じるのは理解できます。

ただし、これは社会のインフラ、最低限のセーフティネットです。

公の手続きをとって、簡単に言えば、過ちや失敗を犯してしまった人でも最低限の救済を与えるところに目的があるわけです。」

 

あえて開示・公表する意味

齋藤弁護士:

「公の手続ですから、その救済の代償に氏名などが公表されるのはしかたありません。

たしかに、官報に公開されている情報を利用されているという意味では、「公にされている情報をネット上に上げているにとどまる」ともみることはできるでしょう。

しかし、例えば『犯罪情報』なども「プライバシー」「秘匿性が高い情報の一つ」と数えられているわけですから、わざわざネット上などにことさらに晒されることになってしまうと、破産制度を用いることを躊躇してしまいかねませんし、リスタートにも弊害が生じます。

 

このように考えると、あえて開示・公表する意味は乏しいと考えることはできますので、損害賠償請求されたとき、プライバシーの侵害があると判断されてしまう可能性はあるでしょう。」

 

閉鎖の前日には弁護士団の動きも

18日、破産者マップが閉鎖される数時間前には、弁護団がクラウドファンディングを開始。

この弁護団は主に「サイトの閉鎖」を目指して活動を行う予定でいたものの、わずか数時間後にサイトが閉鎖される事態となりました。

今回の急展開に対して団長は「閉鎖されて本当に良かった。発信者の特定・再発防止などは引き続き取り組んでいく」とSNSで語っています。

サイトが閉鎖されたとはいえ、まだまだこれで収束とはいかない見通しです。

 

*取材協力弁護士: 銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)

記事執筆:アシロ編集部

齋藤健博 さいとうたけひろ

銀座さいとう法律事務所

東京都 中央区銀座2-4-1 銀楽ビルディング503E

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