先日ある掲示板に女性から「子供が欲しいのにもかかわらず旦那が子作りに応じず『レス』状態が続いている。離婚したい」という相談の書き込みがありました。
このような悩みはなかなか人に言えないものではありますが、「性生活がない」ということは、浮気の理由になりやすく、離婚を考える一因にもなっています。
とくに相談者のように「子供が欲しい」と考えている場合はなおさらです。「レス」状態は離婚事由になるのでしょうか? 銀座さいとう法律事務所の齋藤健博弁護士にお聞きしました。
■レス状態は離婚事由として認められる?
「離婚原因は民法770条1項各号が定めています。この離婚原因は、これら事情がそろえば、法律上離婚する正当な理由となるものです。
みてみると、不貞ですとか、悪意の遺棄ですとかはあっても、「レス」は離婚原因として書かれていません。しかし、5号は、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」と記載されています。これに当たる可能性があります。この判断のキーワードは、夫婦関係の「破綻」です。
というのは、この5号は、不貞ですとか、悪意の遺棄ですとか、明確な理由に当たらない場合であっても、諸事情を考慮すると、離婚原因になりえることを定めています。
レスに至った理由はさまざまあるにせよ、夫婦を継続するには重大問題です。そのため、程度の問題はありますが、一切の拒否であれば離婚原因になりえます。
しかし、合理的理由があるかどうかが合わせて問題となるでしょう。実際の裁判例をみてみると、たとえば、京都地判平成2・6・14判時1372・123、岡山地裁津山支部判平成3・3・29判時1410・100など、裁判例でも、夫と一切性交渉を持たなかった妻に対する損害賠償請求が認められましたケースも存在しています。
ただし、性交渉を拒否したということのみを理由として損害賠償請求できるとしたのではなくて、夫婦関係が破綻した理由やきっかけが、レスが原因として見ることができる点でしょう。
夫婦関係はさまざまですから、レス以外にも破綻の原因はありえますし、それ自体は、実は身体的な限界があったなどの事情があるかもしれません。
その場合には正当な理由があると判断されるので、離婚原因とはならない可能性があるでしょう」(齋藤弁護士)
離婚事由として認められるか否かは、それによって夫婦関係が破綻しているなど、合理的な理由が求められるようです。
このような事案に悩んでいる場合は、一度弁護士に相談してみるといいかもしれませんね。
*取材協力弁護士: 銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に多く乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)
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