一線を超えていなければ不貞にならない? 弁護士の見解は…

昨今有名人の不倫ニュースが後を立ちません。不貞が発覚し、大バッシングを受けた末、仕事を失った芸能人もいます。

それだけに最近は自分を守るため「一線は越えていない」と極めて曖昧でわかりにくいセリフで否定することがあります。

この「一線は越えていない」というセリフは肉体関係を結んでいないということのようです。不倫を疑われた人間たちは、そこを拠り所に「不貞ではない」と主張していることになります。

 

■不貞の境界線はどこ?

世間では肉体関係がなければ不貞ではないということのようです。しかし、一緒にデートをするなど、プラトニックなつきあいも、それに該当するのではないでしょうか?

法的に見て、「不貞になる・ならない」の境界線はどこにあるのか。銀座さいとう法律事務所齋藤健博弁護士にお聞きしました。

「そもそも、不貞行為の定義そのものに争いがあります。通説・判例は、不貞行為とは、自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性交を行うものをいうと理解されます。

しかし、この中でも、一夫一婦制度が採用されている以上、その貞操義務に違反する行動すべてと理解する見解と、性交より広い意味を有するとする立場が存在しています。前者は、判例がよく用いる表現である「情交関係・肉体関係」などの理解に親和します。

難しいことをいいましたが、どこまで広げるかは、難しい問題です。夫が強姦した場合にも不貞行為となる判例は存在していますが、最近の判例では、いわゆる風俗店をもちいた不貞行為に対しては、夫婦関係の在り方に影響を及ぼす事柄として特段問題とされた形跡がうかがわれないとして、不貞行為と認めなかった裁判例があります(東京地判平成25・3・22)。

これを前提とすると、特段の問題…つまり、毎日のように風俗通いになってしまったのであれば、不貞行為になりえる可能性があることを意味しています。」(齋藤弁護士)

「不貞になる・ならない」の境界線はケース・バイ・ケースで、法的に見ても見解が分かれる難しい問題のようです。

 

■一線を越えていなければ不貞にならない?

実例として、肉体関係がなく「会食のみ」、つまり「一線は越えていない」場合は不貞とならないのでしょうか。銀座さいとう法律事務所齋藤健博弁護士にお聞きしました。

「風俗店での不貞は、ならない可能性がある判断をみました。判例を前提とすると、デートが不貞に当たる可能性はないようにも思われます。だからといって安心はできません。というのは、性行為にまで至っていなくても、度を超えた親密な交際が有責行為とされることがあるとの指摘があるためです。

実際にある例では、東京地方裁判所平成24年11月28日のケースでは「逢いたい」「大好きだよ」などの表現について、不法行為の成立をみとめ(厳密に不貞行為とまでは表現していません)たものがあります。ただしこのケースでは、慰謝料の認容金額は低く、500万円請求していたものの30万円にとどまりました。」(齋藤弁護士)

配偶者がいるにもかかわらず他の異性と交際する行為は、やはり好ましいとはいえません。たとえ一線を越えていなかったとしても、不貞になりえます。

「する・しない」は自由ですが、不貞と認められた場合慰謝料などを請求される可能性があることは、理解しておく必要があるでしょう。

 

*取材協力弁護士: 銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に多く乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)

*画像はイメージです(pixta)

齋藤健博 さいとうたけひろ

銀座さいとう法律事務所

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