女性に金銭を渡して援助交際していたと報道され、新潟県知事が辞任しました。逮捕など刑事事件として処罰されるわけではないので、このような行為自体は法律に触れるものではないようです。
援助交際が法律で取り締まられるケースについて、銀座さいとう法律事務所の齋藤健博弁護士にお聞きしました。
互いに18歳以上であれば法的には問題なし
Q.援助交際とは一般的に金銭と引き換えに交際や性交渉をする行為ですが、これは法律で禁じられていますか?
齋藤弁護士「金銭と引き換えに交際する行為それ自体を禁止する法律は、売春防止法、出会い系サイト規正法、児童買春・児童ポルノ処罰法と、さまざまです。
一個一個見ていきましょう。
売春防止法は、対価を支払う上で性行為等に及ぶことを禁止しています。しかしながら、実はこの法律は適用対象に注意が必要です。これは、いわゆる管理売春を行っている場合の管理人を名宛人としています。」
つまり売春防止法は管理売春を禁止する法律であり、個人的な売春行為を取り締まるものではありません。新潟県知事の場合は管理売春ではなく個人同士のやりとりであったため、この法律で取り締まるべきケースには当たらないのです。
18歳未満との援助交際はどんな場合も犯罪!
齋藤弁護士「出会い系サイト規制法では、その6条の規定において、児童を対象とする異性交際を求める書き込みをすることが明確に禁止されています。これを、禁止誘引行為といいますが、要は、出会い系サイトの掲示板を媒介として、性交渉の相手方を、18歳未満の少女(なんと、少年も含みます)とする場合には、罰則が課されます。」
お金を払うが払うまいが、出会い系サイトで児童と出会い、性交渉することは犯罪が成立しえる行為です。たとえば脅迫的な言辞に基づかれていたりすると話は別ですが、今回の新潟県知事のケースでは相手は成人女性とされているので、この法律には触れない可能性があります。
続いて関連があるのは、児童買春・児童ポルノ処罰法です。ここでは明確に、18歳未満の男女を児童と規定して、対価の供与(お金ですね)やその約束をして、性行為のみならずその類似行為も罰則の対象としています。」
つまり、どこで出会おうが、18歳未満の男女と金銭と引き換えに性交渉することは犯罪にあたるのです。なお、この場合、援助交際に同意した18歳未満の男女に対しての罰則はありません。相手が児童である限り、買った大人が100%加害者となります。
ちなみに金銭の授受がない性行為ならOKというわけではありません。児童福祉法や青少年保護育成条例では、18歳未満の男女との性行為を禁じています。合意があったとしても児童との性行為は不適法な行為なのです。」
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18歳未満相手の援助交際の罰則は?
Q.18歳未満の男女と援助交際をした場合、どのような罰則があるのでしょうか?
齋藤弁護士「以上の法律をまとめると、18歳未満の男女に対して、お金などの対価を供与して、性行為や性行為に類似する行為を行うと、罰則が課されます。
罰則は、300万円以下の罰金、5年以下の懲役が定められており、重い処分が下ることがあります。
また、多くケースを見ていると、罰則が重いというよりは、サンクションとして会社から解雇されるに至ってしまったり、離婚の危機に瀕したり、有形無形の不利益を被ることが多いように思います。」
援助交際が法的に問題になるのは、相手が18歳未満であった場合のみです。しかし、成人相手であっても現在の社会規範では容認されにくい行為であることは確かです。法律を知るとともに、そのことを理解し行動するべきといえるでしょう。
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*取材協力弁護士: 銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に多く乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)
*取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。)
*画像はイメージです