ぼったくりと聞くと、ぼったくりバーやぼったくりキャバクラを思い浮かべる方が多いと思いますが、最近ではぼったくり居酒屋が横行しているようです。
ぼったくり居酒屋の多くは、繁華街で客引きを行っていますが、東京都や神奈川県を始め一部の都道府県では迷惑防止条例により客引き自体を禁止しています。だた、ぼったくり居酒屋の多くが繁華街で客引きを行っているのが実情です。
『不当に高い金額を請求された』、『入店前に聞かされた金額と会計の額が違う』など被害の内容は、旧来のぼったくりバーやぼったくりキャバクラと似通っていますが、ぼったくり居酒屋は合法なのでしょうか?
銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士に聞きました。
■ぼったくり営業は、ぼったくり防止条例により禁止されているの?
東京都や、神奈川県、大阪府など一部の都道府県では、ぼったくり防止条例により性風俗営業は、『明確な料金表示』が義務付けられ、『不当な勧誘』、『不当な取立て』が禁止されています。
この条例により、『利用者に事前に利用料金を明かさない(または誤解させる)』ことや、『客引き行為』が規制されるようになりましたが、この条例の適用対象は、性風俗営業に限定されるため、ぼったくり居酒屋まで取り締まることは難しいでしょう。
居酒屋は基本的に、飲酒を目的として設置される業態ですから、性風俗産業ではないのだと主張されてしまうと、適用対象ではないことが導かれます。
■ぼったくり居酒屋は詐欺罪に該当することもある
しかし、店側が故意にお客を騙すつもりがあった、サービスを受ける側を誤解させるように金額が表示されていた場合は、詐欺罪に該当するかもしれません。
例えば、『2人で入店しているのに4人分の料金を請求された』、『4,000円だけで良いと言われていたのに、会計では5万円を請求された』などという場合は、詐欺罪に該当すると思われますが、詐欺罪を立証するためには証拠を揃える必要があります。
齋藤先生)証拠をそろえるには、録音をとったり、いまは動画などを簡単に取れるので、要求の内容をしっかり記録して、後日の立証に備える必要があります。
これが脅迫的な言葉を用いていれば、恐喝罪に問われる恐れもありえます。繰り返しますが、これらをしっかり主張するには、証拠が必要です。
すぐに警察に相談し、被害届を出すのも証拠確保につながります。また、上記は、民事上の不法行為責任が成立しえます。従業員が詐欺や恐喝をすれば、使用者責任といって、営業者にも損害賠償請求が視野に入ります。
■ぼったくり被害に遭いそうになったら警察を呼ぶべきか?
では、ぼったくり被害に遭いそうになったら、警察を呼ぶべきなのでしょうか? 警察は、通常、犯罪性があると判断しなければ介入してくれません。
ぼったくり居酒屋の業務内容自体は、迷惑防止条例や詐欺罪に該当するように思えますが、立証が難しいため警察側は当事者間の料金トラブルとして処理することが予想されます。
しかし、警察を呼ぶ行為自体に、まったく効果がないわけではありません。
支払いを拒んだ結果、乱暴なやり方で支払いに応じさせようとした場合は『脅迫罪』または『恐喝罪』、外に出られなくした場合は『監禁罪』に該当するからです。
これらの罪に該当する場合は、警察も事件として取り扱ってくれるので、トラブルになったタイミングで携帯電話やボイスレコーダーを介して相手の発言を録音しましょう。
齋藤先生)録音は、スマホでも簡単にできますし、ほかにも、請求書などを出してもらうのもひとつの自衛手段でしょう。一番気をつけなくてはいけないのは、いったん支払いに応じてしまうと、これを後日取り返す、損害賠償請求するのは難しいということ。困ったら警察、場合によっては弁護士にすぐ連絡をしてください。それだけで請求が止んだケースもあります。
■ぼったくり居酒屋の被害に遭わないためには
ぼったくり居酒屋の被害に遭わないためには、まず客引きについていかないこと。居酒屋を利用する際は、『食べログ』や『ぐるなび』などグルメサイトで事前にお店の評判をリサーチすることをおすすめします。
*弁護士監修/銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、
*取材・執筆/アシロ編集部
*画像:pixtaより使用
画像はイメージです