頼んでないのにお通し代を払え…これって合法なの?

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頼んでもいないのにお通しが出てくる居酒屋、よくありますよね。お通しは席に着いてから商品が来るまでの時間を繋ぐための料理という意味合いがありますが、「席代」「チャージ料」として300円~500円、または会計額の10%程度が請求されてしまいます。

お通しが原因で、日本に初めて来る外国人観光客と会計時にトラブルになることもあるそうですが、お通し代は、法的に支払う必要はあるか、 銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士にお聞きしました。

 

■Q:お通し代は支払わなくてはいけないの?

齋藤先生:支払う必要はありません

まず、入店時またはメニューを通じて、事前に金額を知らされなかった場合、お通し代を支払う必要はありません。お通し代というのは、慣習上要求されるものに過ぎません。明確に拒絶の意思を示したのであれば、お通しを含めた料理の提供契約が成立することはありません。

ただし、これが、入店拒否などにつながったとしても、それは提供側の事由ですから、違法とは言いがたいでしょう。飲食物提供契約では、一方が契約を申し込み他方が申込を承諾することで契約が成立します。『事前に説明を受けていない』=『注文していない』=『申し込みしていない』と法的に解釈されるため、契約が成立しないからです。

要は、契約は成立していない。しかし、拒絶する必要はあるでしょう。これが慣習の事実上の効力です。

 

■Q:お通しを食べたらお通し代を支払う義務が発生する?

齋藤先生:食べてしまった場合この契約は成立します。

しかし、お通しを食べてしまった場合この契約は成立します。『お通しを店側が提供する』ということは、『申し込みを誘っている』ということであり、『お通しを食べる』=『誘いに応じて申し込みをした』と法的に解釈されるからです。

少し難しい話になりますが、お店側はお通しも含めて、誘っています。法的には、申し込みの誘引といいます。食べてしまうと、法的には、むしろこちら側が申し込みをした、とさえ解釈されてしまう余地があるのです。仮にそうでなくても、食べてしまうと、申し込みを承諾した、と解釈されるでしょう。

 

■入店時に説明を受けていた場合は支払いを拒否できない

また、入店時もしくはメニューを通じて、『お通し代が会計に含まれる』という説明がされていた場合は、お通し代の支払いを拒否できません。この場合、支払いが嫌であれば入店しないこともできるので、法的に『お通しを注文(申込)した』と解釈されます。

これを拒絶したにもかかわらず一方的にお通しを出し、お通しを食べることを強制したのであれば別です。しかし、説明を受け、入店拒否の可能性を認識しながらも、これを食べてしまうと、契約は成立したとされてしまいます。

 

■入店時にお通しカットを主張

もし、お通し代を支払いたくない方は、入店時にお通し代の有無を確認すれば回避できますが、入店後にお店を変更するのはなかなかハードルが高いと思います。

最近では、お通し代を取らない居酒屋も増えてきているので、事前にインターネットで『お通しカット』の店舗を確認すると良いでしょう。

また、お通しについて、『そのお店の料理のクオリティが判断できる』、『一杯目のお酒のつまみにちょうどいい』など、好意的に思っている方がいるのも事実です。

お通しを楽しむことができればそれに越したことはありませんが、もし友達や会社の同僚を誘って居酒屋に行くときは、事前にお通しについてどう思っているのか、さり気なく聞いてみると良いかもしれません。

 

*弁護士監修/ 銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士(弁護士となってから、数々の不倫・離婚問題を解決。弁護士として働くかたわら、慶應義塾大学にて法務研究科助教も務める)

*取材・執筆/アシロ編集部

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齋藤健博 さいとうたけひろ

銀座さいとう法律事務所

東京都 中央区銀座2-4-1 銀楽ビルディング503E

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