今年11月、運送会社に勤めていた女性事務員が配送する商品を盗みオークションサイトに出品していたため、懲戒解雇処分になっていたことが明らかになりました。
本件、盗んだ商品を販売していますが、どのような罪状になるのか、また、補償があるのかといった点について解説してみたいと思います。
■窃盗・詐欺罪に
本件は窃盗罪と詐欺罪になると思います。
まず他人の商品を盗み取っているわけですから窃盗罪になります。
次に盗んだ商品をオークションに出品し、落札した人からお金をだまし取っているいるわけですから詐欺罪になります。
この窃盗罪と詐欺罪は、同じ人が犯した複数の犯罪(併合罪)ということになり、懲役の長期の上限が窃盗の懲役の長期の上限(10年)の1.5倍(15年)となり、重く処罰される可能性があるわけです。
■商品の落札者の責任は?
盗品と知らず落札した場合や、落札した後に盗品と知ったという場合であれば、責任はありません。
普通ないことですが、落札者が盗品と知って購入した場合には、落札者は盗品有償譲受の罪の責任を負います。
盗品を購入するような人がいれば、窃盗の件数が増えかねませんので、盗品有償譲受の罪は、窃盗罪や詐欺罪よりも重く、「10年以下の懲役及び50万円以下の罰金」で処罰される可能性があります。
■被害者の補償は?
盗んだ人に対して損害賠償請求することも考えられますが、配送会社の事務員が盗んだということであれば、配送会社に補償してもらうことになるでしょう。
*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)
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*TAROKICHI / PIXTA(ピクスタ)
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