先日ある公共放送の女子アナウンサーと、民放の男性アナウンサーが結婚したことを発表。異なる局のアナウンサーが結婚することは珍しいだけに、話題となりました。
一般社会では、たまたまつきあっている相手が同業他社に勤めていたということは、比較的よくあることではないでしょうか。もちろん、恋愛関係は会社には関係ないことですので、特に問題視されることではないと思われます。
しかし、都市伝説レベルではありますが、ネットの書き込みを見ると、会社によっては「ライバル関係にある同業他社社員との結婚を禁じる」という誓約書を書かされるケースや、結婚を認めないなどといわれることがある模様です。
真偽の程は不明ですが、仮にこのようなことが行われていた場合、法的に成立するのでしょうか? パロス法律事務所の櫻町直樹弁護士に見解を伺いました。
Q.同業他社社員との結婚を会社から止められた……法律的に認められる?
A.認められない(会社のいうことに従う法的義務はない)。
「実際にそのようなことが行われているのか俄に信じ難いところですが、仮に“競合する同業他社の従業員とは結婚しません”という内容の誓約書を会社に提出していたとしても、そのような誓約は「公序良俗」に反して無効とされるでしょう(民法90条)。
また、会社(上司)が「同業他社の従業員との結婚は認めない(禁止する)」などと言ったとしても(それを「業務命令」と言うかどうかは別として)そのような公序良俗に反する命令に従う法的な義務はないといえるでしょう。
なお、結婚したことを理由に会社が降格や異動を命じた場合は、“不当な目的”に基づく違法な人事権の行使として無効になると思います。ただ”結婚したことを理由として降格・異動したのかどうか”という点について、会社は当然”そのような意図ではない。
能力やスキル、勤務成績等をふまえた正当なものだ”というでしょうし「不当な目的に基づく降格・異動である」と立証することは、なかなか難しいこともあると思います」(櫻町弁護士)
実際にこのようなことが行われているのかは不明ですが、仮に「同業他社との結婚だから認めない」という措置をとられた場合、無効を主張することはできるようです。
*取材協力弁護士:櫻町直樹(パロス法律事務所。弁護士として仕事をしていく上でのモットーとしているのは、英国の経済学者アルフレッド・マーシャルが語った、「冷静な思考力(頭脳)を持ち、しかし温かい心を兼ね備えて(cool heads but warm hearts)」です。ブログ「ネットイージス.com」)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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*kou / PIXTA(ピクスタ)
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