「裸で抱き合う」「手を繋ぐ」…どんな行為が不倫として成立する?

前回記事「全ての不倫が慰謝料請求の対象? 不法行為成立の要件とは」では、不法行為の成立要件についてお話させていただきました。少々、抽象的なお話しだったと思いますので、もっと具体的なケースについて知りたいと思った方も多いかと思います。

ですので今回は、4つの不倫のケースに関して裁判例上ではどのような判断が下されたのかをご紹介していきたいと思います。

*画像はイメージです:http://www.shutterstock.com/

 

■どのような行為が侵害行為と判断されるのか

以下、不倫(不貞)相手をX、夫婦のうち、不倫をされた側(慰謝料を請求する側)をA不倫をした側をBとしてお話します。

 

1.ホテルにおいて裸で抱き合うこと 〇

これはかなり特殊な事例ではありますが、持病の糖尿病のために性的不能であったXが、Bとホテルにおいて裸で抱き合うなどしたケースです。

このケースにおいて、裁判所は、性行為には至らなかったとしても、そのような行為は、原告の婚姻共同生活の平和維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害するものとしています(東京地判平成25年5月14日)。

これは当然といえるでしょう。

 

2.手を繋いで歩くこと △

これについては、肯定している裁判例、否定している裁判例、いずれもあります。

まず、肯定例ですが、「狭い一室に男女が数日間にわたり同宿し、戸外に出た際には体を密着させて手をつないで歩いていたこと等からして、XとBとの間には肉体関係があったと認めるのが相当」とされています(東京地判平成17年11月15日)。

他方、否定例は「Aは、関係者の目撃情報をいうが、仮に、関係者の目撃したBと一緒にいた女性がすべてXであり、Aの主張するようにBがその女性と手をつないでいたとしても、そのことから当然に不貞関係の存在が推認されるものではない」とされています(東京地判平成20年10月2日)。

これらの裁判例を見ると、いずれも結局は肉体関係(後者は「不貞関係」としていますが、これは肉体関係を指しています)の有無を問題としており、それがあったかどうかの推認の要素として「手を繋ぐ」という要素を考慮しているに過ぎないようです。

自分の夫や妻が他の異性と外で手をつないでデートをしていたら、かなりショックでしょうし、婚姻共同生活の維持を妨げるような行為、といっても良いと思われますが、裁判例上は、その手を繋ぐ行為やその他の事情から肉体関係があると推認できないと「侵害」とは認められないようです。

つまり、単に手をつないでいるだけでは、肉体関係(やそれに類するもの)があるとまでは認められないため、その他の事情を組み合わせて肉体関係がある、と推認できるかがポイントになります。

 

3.内緒で密会する行為 ×

配偶者に内緒でご飯に行ったり、デートしたりする行為については、不法行為を構成しないとされています(東京地判平成21年7月16日)。

上記のように、手を繋いで歩くことが侵害行為といえない以上、これが該当しないのは当然でしょう。

 

4.「あいしてる」「大好きだよ」などの愛情表現を含むメールの送信 △

これについても肯定、否定いずれもあります。

まず、肯定例は「このようなメールは、性交渉の存在自体を直接推認するものではないものの、XがBに好意を抱いており、Aが知らないままBと会っていることを示唆するばかりか、XとBが身体的な接触を持っているような印象を与えるものであり、これをAが読んだ場合、Aらの婚姻生活の平穏を害するようなものというべきである。」としています(東京地判平成24年11月28日)。

他方で、否定例もありますので、「手を繋ぐ」という事情と同様で、メールそれ自体をもって「侵害行為」とすることはできず、メールの内容から、肉体関係(あるいは身体的な接触)があったといえるような場合に不法行為となるものと考えられます。

そして、実際、メールの内容から肉体行為があったことが推認されたケースとして、「あの旅は本当に素敵なものでした」とのメール(東京地判平成22年1月28日)等があります。

一般的には、宿泊を伴う旅行や性的交渉の存在を前提とした内容のものが記載されていれば肉体関係の存在が推認されるといえるでしょう。

 

以上からすると、肉体関係(性行為)以外は「侵害行為」と認定されづらい傾向にありますが、それに類似するような行為であっても、「侵害行為」とされていることがあり、また、手を繋ぐ行為や親密なメールの内容等から肉体関係があったものと推認できる場合には「侵害行為」とされていることが分かります。

 

*著者:弁護士 伊倉吉宣(伊倉綜合法律事務所。離婚・男女問題をはじめ、労働トラブルや交通事故問題など幅広く取り扱う。)

【画像】イメージです

*MonoLiza / Shutterstock

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