昨今、某ハンバーガーチェーン店に「裏メニュー」が登場し、話題となっています。
今回のように「裏」を堂々と公表するのは稀で、通常は常連や馴染みの客などに振る舞われるメニューにない料理のことを「裏メニュー」と呼びます。
メニューに載っていないわけですから、当然ながら料金も定かではありません。事前に「いくらで」と打診されることもありますが、値段を明かさず最後に請求されることもあるようです。
仮に裏メニューの提供を打診され、「せいぜい5,000円くらいだろう」と思っていたら、じつは1万円と想像より少し高かった。
その場合、ほとんどの皆さんは支払いに応じると思うのですが、「高すぎる」と拒否したくもなります。
断りたいところですが、勝手に値段を「思い込んだ」ことが悪いとも思われるだけに、しぶしぶ受け入れている人はほとんどでしょう。しかし、やっぱり納得いかないのも事実。
一体法律的に見て、拒否することはできないのでしょうか? 三宅坂総合法律事務所の伊東亜矢子弁護士にお聞きしました。
Q.「裏メニュー」の値段を聞かずに注文し、想定より少し高い金額を請求された場合、支払いを拒否することはできる?
A.拒否することは難しいと思われます。
「なかなか難しいところだなと思います。
想像よりは少し高かったとしても、実際に出てきたものに対する値段としては必ずしも法外とはいえないという場合には、“店の雰囲気や他のメニューの値段からこの程度の値段だろうと想定した”ということをもって、例えば“錯誤”によって契約は無効(民法95条)、などの主張をすることは困難であろうと思います。
いきなり思っていたのよりも高い金額を言われ、困惑してしまうお気持ちは重々お察しいたしますが……」(伊東弁護士)
裏メニューの性質上、その値段が法外でないかぎり、錯誤などを問うことはできないようです。裏メニュー打診時に、勇気を出して金額を確認しておいたほうがいいかもしれません。
*取材協力弁護士:伊東亜矢子(三宅坂総合法律事務所所属。 医療機関からの相談や、 人事労務問題を中心とした企業からの相談、離婚・ 男女間のトラブルに関する相談、 子どもの人権にかかわる相談を中心に扱う。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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