最近はスマホで楽々出品・購入できるフリマ系アプリが大人気です。TVCMも盛んに流れていて、実際に利用すると即座に高値で売れていくとか。
クロネコヤマトのキャパオーバーが問題になっているネット通販大手のAmazonでも、本やCD、DVDなどをマーケットプレイスで売ることができます。
そんなネットオークションやフリマ系アプリ、また、中古売買店もそこら中にある環境で、離婚した夫が養育費を払わず、子どもの教育費に困窮した元妻が元夫の置いていった私物を勝手に売ってしまったらどうなるのでしょう?
■勝手な財産処分は窃盗罪や横領罪に問われる場合も!
離婚問題に詳しい高島総合法律事務所の理崎智英弁護士によると、有罪になる場合があるとのことです。
「元夫が家を出て行く際に置いていった物であっても、元夫がその物の所有権を放棄しない限りは依然として元夫の所有物なので、元妻は勝手に処分することは許されません。
そのため、元妻が元夫のものを勝手に売って換金する行為は、形式上は窃盗罪あるいは横領罪に該当します」
ということは、元夫が元妻を訴えたら?
「元夫は、自分の所有物を元妻に売られたことによってその物の価値相当額の損害を被ったことになります。
なので当該損害の賠償を求めて元妻を訴えれば、元夫が勝訴する可能性は高いでしょう」
■置いていった物の所有権を放棄させることが必要
通常、離婚時には共有財産、私物など家の中にある物をしっかり分け合いますが、家出同然に夫が出ていったまま、別居状態を経て離婚した場合など、荷物放置の場合もありえます。
そんな場合は置いていったままの元夫が悪い気がします。
「元夫が出て行ってから長期間が経過していて、その間に元夫から元夫の所有物を送ってこいとか何も言われていないような場合には、元夫が出て行く際に置いていった物について、元夫はその所有権をすでに放棄していると評価できますので、元妻が処分して換金したとしても罪に問われる可能性は低いでしょう。
元夫としては、必要のないものだから家に置いていったのでしょうから(価値のあるものであれば出て行く際に持っていくはずです)、仮に元夫の承諾を得ずに元妻が元夫の物を処分してしまったとしても、あとで元夫から文句を言われる可能性は低いと思います」
これは立場が逆転しても同じことです。
荷物に関してはメールやLINEでもいいですから、相手に「置いていった荷物はそちらでどう処分してもかまわない」などのメッセージを送ってもらえば最小限、証拠になります。
その場合は大手を振って売りさばきましょう!
■養育費の不払いは許されない!
とはいえ、この先も養育費を払ってもらえないのは困りますね。元夫の給料や財産を差し押さえられないものでしょうか?
「元夫が養育費を支払っていない場合であっても、元夫の財産を勝手に処分して養育費の支払いに充てることは許されません。
元夫に連絡を取って所有権を放棄させ、売っていいことを認めさせる必要があります。
養育費を回収するためには、裁判上の手続き(養育費の支払いを求める裁判、強制執行等)をとる必要があります」
なるほど、養育費の回収には然るべき手続きが必要なのは理解できます。この場合は離婚と同じく家庭裁判所ですね。
「養育費の支払いは親としての義務なので、養育費を支払えないほどの生活に困窮している場合であっても、養育費を全く支払わなくても良いということにはなりません。
また、一度決まった養育費を勝手に養育費を減額することはできません。
養育費の減額を求める時、相手の同意が得られない場合には、家庭裁判所に対して養育費減額の調停や審判を申し立てる必要があります」
離婚後に金銭関係で問題があれば、まずは家庭裁判所や弁護士に相談してみることです。
*記事監修弁護士:理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)
*取材・文:梅田勝司(千葉県出身。10年以上に渡った業界新聞、男性誌の編集を経て独立。以後、フリーのライター・編集者として活躍中。コンテンツ全般、IT系、社会情勢など、興味の赴く対象ならなんでも本の作成、ライティングを行う。)
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