1月、俳優の松方弘樹さんが入院先の病院で息を引き取りました。公私共に破天荒な生き方は、まさに「昭和のスター」という名にふさわしく、惜しむ声が多数あがっています。
そんな松方さんは離婚した2人の妻との間にできた子どもと、それ以外の女性が産んだ子ども計6人存在しているそう。2度目の妻・仁科亜季子さんと別れたあとは、内縁の妻と暮らしてきたと報じられています。死後、遺産の分配がどうなるのか注目されているようです。
一般人ではなかなかこのようなケースはありませんが、「内縁の妻」として故人をサポートしてきたのなら、遺産を手にする権利はあるようにも思えます。この場合内縁の妻が分配を受けることができるのか。遺産相続に詳しい高島総合法律事務所の理崎智英弁護士に見解を伺いました。
Q.「内縁の妻」は遺産の分配を受けることができる?
A.分配はできません。ただし生前贈与や遺贈は可能です
「結論からいうと、内縁の妻には遺産を相続する権利が一切ないので、遺産を分配する必要はありません。すなわち、相続人の資格は、法律上決まっていて、配偶者や子ども、親、兄弟姉妹等一定の親族は相続人になることができるのですが、内縁の妻は親族にはあたらないので、相続人にはなることができないということになります。
もっとも、被相続人が、生前に内縁の妻に対して財産を贈与したり(生前贈与)、遺言を書いて内縁の妻に財産を贈与すること(遺贈)は可能です。そのため、被相続人としては、内縁の妻に対して何らかの財産を残してあげたいと考えているのならば、生前贈与をするか遺贈すればよいということになります」(理崎弁護士)
現在の法律では「内縁の妻」には遺産を相続する権利が与えられていないそうです。ただし、故人が生前に遺言で財産を贈与する意志を示していれば、遺贈という形で財産を贈ることはできるのですね。
*取材協力弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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