あまりよろしくない行為ですが、企業の人事をやっていると、「今日で会社を辞めます!」と言って会社を飛び出して行った人が現れた、という話をたまに耳にします。そういった場合、当然上司や社長は激怒します(呆然とすることもありますが)。
いきなり退職されたのですから、会社としては最終月の給与を支払わないという措置をとることもあるようです。
自分から突然飛び出した会社に対してこの給与の支払いを求めるのは何とも気まずいものですが、何とかして給与を取り戻す方法はないのでしょうか?
Q.当日いきなり退職した会社から給与を支払ってもらうには?
A.支払いを求める内容証明郵便を送付しましょう。ただし、損害賠償を求められる可能性も考えられます……。
まず大前提として、「今日で会社を辞めます!」というのは契約違反です。
正社員であっても、法律上は遅くとも2週間前には退職の申し出をする必要があると定められているため、会社側には突然退職(雇用契約を急に解除)されたことに対して損害賠償を請求する権利が発生します(ただし、よほどの損害が出ない限り、この損害賠償請求が認められるケースは少ないです)。
いきなり辞めるのが契約違反に当たるのは間違いないのですが、とはいえそれまで働いた給与の支払いを求める権利は一応辞めた本人には残っています。
そのため、会社側が最終月の給与を支払ってくれない場合は内容証明など、記録の残るような方法で請求するのが良いでしょう。
給与の未払いという労働基準法違反の案件でもあるので、労働基準監督署に相談するというのも手段の1つです(ただ、それでも会社側が頑として給与を支払わない場合は訴訟などに突入し、トラブルが長期化するかもしれません……)。
いずれにせよ、自分にも落ち度が残ってしまうため、当日いきなり退職するのは避けた方がいいでしょう。
遅くとも2週間前には退職の意思表示をする必要があります。それから有休消化に入るのは一応法的には問題ありません(それでも引き継ぎは最低限行うのが社会人としてのマナーだとは思いますが……)
*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。
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